家族で夏のキャンプにでかける際に心配なのが、熱中症です。熱中症対策で大切なのは、水分をこまめにとることです。
しかし、どんな飲み物をどのタイミングで飲めば熱中症対策として良いのか、どれだけの水分を用意したら良いのかご存知でしょうか?
青野ともさん
この記事では、キャンプ歴3年のママ薬剤師が、熱中症対策におすすめの飲み物の選び方や注意点を紹介します。
キャンプだからこそ気をつけたい熱中症対策ポイントもあるため、準備する際はぜひ参考にしてくださいね。熱中症対策を万全にして、夏のキャンプを楽しく過ごしましょう!
熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
熱中症予防のための情報・資料サイト | 厚生労働省
運動や屋外での活動で体温が高くなると、汗をかいて体温を調節します。これは汗が蒸発するときに体の熱を奪うためです。
汗をかくと水分だけでなく塩分も一緒に体の外に出てしまい、体の中の水分や塩分が少なくなってしまいます。そのため、適切な水分や塩分補給は熱中症対策にかかせません。[2][3]
青野ともさん
楽しいキャンプで家族が熱中症にならないように、しっかり対策していきましょう。
熱中症対策におすすめの飲み物
汗をかいた時は水分だけでなく、塩分の補給も必要です。また、熱中症対策には塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲み物が良いとされています。[3]
ここでは、熱中症対策におすすめの飲み物について解説します。
スポーツドリンク
市販されているスポーツドリンクの多くは、100mLあたり食塩相当量0.1g(塩分濃度0.1%)のため、塩分を適切に含んだ飲み物だと言えます。
青野ともさん
スポーツドリンクを飲むと甘く感じますよね。これは、スポーツドリンクに塩分だけでなく糖分も含まれているからです。
糖分は塩分と一緒にとることで水分の吸収を高めます。また、糖分をとることでエネルギー補給にもなるため、運動前や運動中に飲むとパフォーマンスを向上させると言われています。[4]
スポーツドリンクは効果的な水分とエネルギー補給ができるため、日常生活の水分補給や運動前後に飲むのがおすすめです。
経口補水液
経口補水液は、塩分と糖分の配合が体に水分が吸収されやすいよう調整されている飲み物です。スポーツドリンクと比べて塩分濃度が高く、糖分の量が少ないため、消化に時間がかかりません。
青野ともさん
速やかに水分が吸収されるため、経口補水液は熱中症による脱水*に適していると言えるでしょう。[5]
お茶、水
お茶や水は塩分や糖分を含まないため、日常生活における水分補給に適しています。
大量に汗をかいた時にお茶や水だけで水分補給すると、体に必要な塩分が足りず、体液が薄まります。体液が薄まると筋肉のけいれんなどが起こる場合があるため、注意が必要です。[3]
大量に汗をかいた場合は、スポーツドリンクや経口補水液を飲むことがおすすめです。
青野ともさん
お茶や水だけの水分補給は熱中症対策として適していないため、気をつけましょう。
水分補給のポイントと注意点
熱中症対策ではこまめな水分補給が必要と言われていますが、どのタイミングでどれくらいの量の水分補給が必要なのでしょうか。ここでは、水分補給のポイントや注意点を解説します。
水分補給の5つのポイント
熱中症対策として水分補給する時のポイントを5つ紹介します。
- のどが渇く前に飲む
- 日常生活では1日1.2Lの水分をとる
- 運動や作業時は200mL程度の水分を、20〜30分おきに飲む
- 5〜15℃のやや冷たく感じる温度で飲む
- 水分と一緒に塩分と糖分をとる
人は、軽い脱水状態ではのどの渇きを感じないと言われています。そのため、のどが渇く前から意識して水分補給しておきましょう。飲み物として摂取する水分の目安量は、体重70kg(成人男性)で1日1.2Lとされています。[3]
1回200mL程度の水分を1日5〜6回にわけてとると、必要な量を無理なく補給できますね。
日常生活や運動、作業時では必要な水分量の目安が異なります。運動量や汗の量に応じた水分補給を意識するようにしましょう。[3][7]
青野ともさん
お茶や水だけの水分補給は、熱中症対策として適していないため、気をつけましょう。
また、水分と一緒に塩分と糖分をとることで水分の吸収はアップします。汗をかいた時は、塩分と糖分が含まれているスポーツドリンクや経口補水液で水分補給しましょう。
水分補給の注意点3つ
水分補給時の注意点は以下の3つです。
- スポーツドリンクの飲み過ぎに注意
- スポーツドリンク・経口補水液は薄めずに飲む
- コーヒーやアルコールは水分補給にはならない
スポーツドリンクは、塩分だけでなく糖分も含まれています。飲みすぎると糖分のとりすぎになるため注意しましょう。スポーツドリンクや経口補水液は、水分が体に吸収されやすい塩分と糖分濃度になっているため薄めずに飲みます。
青野ともさん
凍らせた場合も、溶けかけた状態では飲み始めと飲み終わりの濃度が均一になっていないため注意が必要です。
また、コーヒーやアルコールは水分補給に適していません。これらは尿の量を増やし、体の中の水分を減らしてしまうためです。熱中症対策には、状況に応じてスポーツドリンクや経口補水液で水分補給しましょう。
【体験談】キャンプならではの熱中症対策
キャンプの場合、どのような熱中症対策が必要でしょうか。キャンプならではの熱中症対策やどれくらいの水分を準備するかについて、筆者の体験を交えて紹介します。
キャンプだからこそ気をつけたいシーン
キャンプでは到着してからテント設営や食事の準備など、やることが盛りだくさんです。
青野ともさん
テント設営や食事の準備中など、夢中になって水分補給を忘れてしまいがちなシーンは、とくに熱中症に気をつけましょう。
また、キャンプ場はトイレが近くにない場合が多く、トイレに行く回数を減らすために水分を控えがちです。その結果、熱中症になってはキャンプも台無しですよね。
水分補給をしっかり行って熱中症対策をした方が、家族でのキャンプを楽しめるでしょう。
キャンプ時におすすめの熱中症対策
キャンプ時にできる熱中症対策は、以下の2つがおすすめです。
- 水分補給の時間を決める
- まず日陰を作る
家族がそれぞれキャンプの準備をはじめると、水分補給しないまま長時間過ぎてしまう場合があります。たとえば「水分補給の声をかけるのはママ」など担当を決め、担当者に声をかけられたら水分をとるというルールを作ってみてください。
青野ともさん
時間や声をかける人を決めると、家族全員が忘れずに水分補給をできるようになりますね。
日差しが強いと体温が上がりやすくなります。テントを設営する前にタープ*を立て、まずは日陰を作りましょう。水分補給は日陰で休みながら行うようにします。タープがなければ、木陰や屋根付きの施設を探しておくことも大切です。
どのくらい、どんな水分があるといい?
筆者の家族(大人2人、小学生と幼稚園児のこども2人)4人での、1泊2日のキャンプに持って行く水分を紹介します。
- スポーツドリンク500mL×4本
- ハンディーパックタイプのスポーツドリンク300mL×4本
- お茶2L×2本、500mL×4本(手持ち用として)
- 水2L×2本
- 経口補水液500mL×2本
スポーツドリンクは凍らせて持っていくとクーラーボックスの保冷剤代わりになります。また、凍らせた飲みものは、暑さ対策として首や脇を冷やす時に使えるため便利です。
水は主に料理に使いますが、熱中症対策として飲料水が足りなくなった場合にも使えます。
荷物を減らしたい時は塩分を補給するタブレットタイプもおすすめです。
青野ともさん
タブレットタイプは塩分と糖分の補給にはなりますが、水分補給にはなりません。必ず水分も一緒にとるようにしましょう。
家族で夏のキャンプを楽しもう
夏の暑い時期のキャンプは、熱中症が気になりますよね。キャンプの熱中症対策はこまめな水分補給と暑さ対策が重要です。しっかり準備して行きましょう。
家族と一緒に外で過ごすキャンプは、きっと素敵な思い出になります。
青野ともさん
熱中症対策を万全にして、夏のキャンプを楽しく過ごしてくださいね。
薬剤師ライター:青野 ともさん
経歴20年のママ薬剤師。療養型病院、総合病院で勤務したのち薬局へ転職。現在は薬局で勤務。赤ちゃんから高齢者まで薬や健康相談に応じ、地域住民の健康をサポート。豊富な経験をもとに医療をわかりやすくお伝えすることを大切に、医療ライターとしても活動しています。趣味は家族で行くキャンプ。