ニキビは思春期特有のもの。そう思っていませんか?
思春期にはニキビが気にならなかったのに、20代を過ぎて口周りや頬などにニキビが繰り返しできる方は少なくありません。また、大人ニキビがやっと治ったと思ったのに、何度も同じ場所にできて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ニキビと一口で言っても、思春期にみられるものと大人になってみられるものには、それぞれ原因と特徴が異なります。
この記事では、皮膚科の門前薬局に勤める薬剤師ライターの筆者が、大人ニキビができる原因とその対処法について解説します。

三木あこさん
今までのスキンケア方法を見直し、大人ニキビのできにくい肌を目指しましょう。
大人ニキビの原因


大人ニキビの原因として有名なのはアクネ菌ですよね。しかし、アクネ菌は常在菌といって、健康な皮膚にも常にいる菌です。そのため、アクネ菌があるからといって、大人ニキビが必ずしもできるわけではありません。皮膚の状態のみだれから、大人ニキビへとつながってしまいます。
では大人ニキビができる原因には、いったい何があるのでしょうか?
過剰な皮脂分泌
皮脂は皮脂腺から常に分泌されており、皮膚の乾燥を防ぎ、保護する働きをもちます。[1]しかし、皮脂が過剰に分泌されることにより、大人ニキビへとつながります。
皮脂の分泌が多くなる要因はさまざまですが、有名なのは以下3つです。[2]
- ホルモンバランス
- 皮膚の乾燥
- 不規則な生活
毛穴のつまり
さまざまな原因で皮膚のターンオーバーが正常に行われなくなると、皮膚の角層が固くなり毛穴をふさいでしまいます。そのふさがれた毛穴に皮脂や皮膚の老廃物などがつまり、大人ニキビの原因となります。[2]



三木あこさん
皮膚のターンオーバーが乱れる要因としては、皮膚のバリア機能の低下や睡眠不足、紫外線、ストレスなどさまざまです。[2]
アクネ菌は酸素が少ないところを好むため、過剰に分泌された皮脂をエサにして、つまった毛穴の中で増殖します。これが大人ニキビです。[3]
大人ニキビと思春期ニキビの違い


思春期ニキビは、過剰な皮脂分泌が主な原因です。そのため、皮脂腺の多いTゾーンに多くみられます。ホルモンバランスが安定してくる20代以降は、自然にニキビが落ち着いていくのが一般的です。[3]
一方で大人ニキビは、適切ではないスキンケアやストレス、睡眠不足などさまざまな要因が関係しているといわれています。頬や口周り、顎のフェイスラインに多くみられ、脂性肌だけではなく肌質を問わずできるのが特徴です。[3]



三木あこさん
また、ホルモンバランスが乱れやすい生理前は、大人ニキビができやすいといわれています。
女性にとって生理はとても重要なもの。気にしすぎず、うまく付き合っていくことも大切です。[3]
大人ニキビのスキンケア3ポイント


大人ニキビがあると、鏡をみるたびにどんよりした気持ちになりませんか。



三木あこさん
せっかくなら、大人ニキビのない綺麗なお肌をみて、晴れやかな気持ちで1日のスタートをきりたいですよね。
そこで、ここからは毎日できるスキンケアのポイントを3つご紹介します。ぜひ参考にして、スキンケア方法を見直すきっかけにしてみてください。
1日2回の洗顔
余分な皮脂や汚れを落とし皮膚の清潔を保つために、洗顔はとても重要です。
1日2回、洗顔料をよく泡立て、その泡で包み込むようにやさしく洗いましょう。すすぎは30℃以下のぬるま湯を用いて、髪の生え際やフェイスラインもしっかり泡を洗い流すことがポイントです。[4]
洗顔料が残ってしまうと、それが刺激となり大人ニキビを悪化させる可能性があります。洗顔するときは、ヘアピンやヘアバンドを使って顔まわりの髪の毛をとめておくと、洗い残しを防ぎやすくなりますよ。



三木あこさん
洗顔後は、タオルでやさしく水分を拭き取ります。そして最後に肌の乾燥を防ぐため、必ず保湿はしっかりしましょう。
適切なスキンケア商品の使用
洗顔料や化粧水、乳液などの毎日使う化粧品は、ノンコメドジェニックまたはハイポコメドジェニックと表記があるものがおすすめです。
コメドとは、毛穴に皮脂のつまった状態のことで、大人ニキビの初期段階といわれています。このコメドができにくいとされているのが、ノンコメドジェニックまたはハイポコメドジェニックです。ただし、必ずしも大人ニキビができないわけではないので注意しましょう。[2][3]
また、大人ニキビができにくいと聞くと刺激の低いイメージがあるかもしれません。しかし、ノンコメドジェニックやハイポコメドジェニック表記には、低刺激という意味合いをもちません。



三木あこさん
敏感肌の方はとくに、皮膚の薄い部分である二の腕などで試してかぶれないか確認してから使用すると良いでしょう。
大人ニキビにも優しいメイク
大人ニキビが気になるからといって、ファンデーションやコンシーラーの重ね塗りをすると毛穴つまりが悪化してしまうかもしれません。
ベースメイクは肌のトーンアップ程度に抑え、控えめにするのがおすすめです。皮脂腺の少ないまぶたや唇には大人ニキビができにくいため、いつもとは違った色味でポイントメイクを楽しんでみてはいかがでしょうか。[5]
また、パフやメイクブラシを汚れたまま使っていると、肌への刺激になってしまいます。[6]



三木あこさん
一般的に、パフは汚れていない面がなくなったら、メイクブラシは筆先の汚れが気になったら洗うとよいと言われています。
専用の洗剤または中性洗剤を使ってやさしく洗い、陰干ししましょう。
大人ニキビの注意点


大人ニキビの原因はさまざまあるため、スキンケア方法を見直すだけでは、大人ニキビへの対処法として十分ではありません。忙しい毎日のなか、生活習慣にほんのすこし気をくばるだけで、もっと綺麗な肌へ近づけるかもしれません。



三木あこさん
そこで、スキンケア以外にも、日常生活で大人ニキビのために心がけてほしいポイントをご紹介します。
健康的な生活習慣を心掛けよう
多くの方が忙しい毎日を過ごすなかで、睡眠不足やストレス、かたよった食生活などの悩みを抱えているのではないでしょうか。生活習慣の乱れは肌のターンオーバーを乱れさせ、大人ニキビの原因となります。
毎日しっかりと睡眠をとり、1日3食バランスよい食事をとるよう心がけましょう。チョコレートやケーキは大人ニキビができると控えていませんか。しかし、医学的には特定の食べ物と大人ニキビとの関連はないといわれています。[3][7]
極端に控えるのではなく、たまに自分へのご褒美で食べるのもいいかもしれません。
また、寝具は1日のうち多くの時間を肌と接しているものです。



三木あこさん
一般的に1週間に1度、シーツを洗濯したほうがよいといわれています。
すこし大変かもしれませんが、質の良い睡眠をとれるよう環境を整えましょう。
早めに皮膚科を受診しよう
大人ニキビは悪化すると、痕(あと)が残る可能性があります。また、大人ニキビだと思っていても、実はマラセチア毛包炎や多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)といった違う病気が隠れていて、専門的な治療が必要になる場合もあります。



三木あこさん
スキンケアや生活習慣を見直してもなかなか大人ニキビが治らない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
適切なスキンケアで大人ニキビができにくい肌へ


この記事では、大人ニキビの原因とその対処法をご紹介しました。大人ニキビは同じ場所にくり返しできることも多く、見た目も気になりますよね。



三木あこさん
今日からスキンケア方法や生活習慣を見直し、大人ニキビができにくいスベスベ肌を目指しましょう。
[1]野村浩一|メークアップ化粧料における皮脂コントロールの重要性とその対策|オレオサイエンス|2005年|5巻|447-454ページ
[2]林伸和|尋常性痤瘡の標準治療とスキンケア|日本香粧品学会誌|2023年|47巻|203-210ページ
[3]にきび – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
[4]大江昌彦、白髭由恵ほか|痤瘡寛解期における化粧指導とスキンケア製品によるProactive Managementの有用性|日本化粧品技術者会誌|2010年|44巻|127-132ページ
[5]林伸和|ニキビの発症メカニズム,治療,予防|日本香粧品学会誌|2016年|40巻|12-19ページ
[6]岡崎貴世|化粧用パフの微生物汚染状況と効果的な洗浄方法の検討|四国大学紀要 Ser.B 自然科学編|2014年|39号|1-6|ページ
[7]尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン策定委員会|尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023|日本皮膚科学会雑誌|2023年|133巻|407-450ページ


薬剤師ライター:三木 あこ さん
東京薬科大学卒。企業にて臨床開発モニターとして従事したのち、現在は調剤薬局にてパート勤務。2人の子供を育てるママでもあり、育児と仕事に奮闘中!リサーチを得意としており、エビデンスレベルの高い情報をわかりやすい言葉で執筆を心掛けています。
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