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腸活で免疫力アップ!腸内細菌や自律神経との関係、実践方法を解説

最近「腸活」や「腸内環境を整える」などの言葉をよく耳にするようになりました。スーパーやドラッグストアなどで関連する商品も多く並んでいます。

一方で、腸活のメリットは「腸の消化や吸収を助けて代謝がよくなる」というイメージにとどまっている方もいるかもしれません。

実は「腸は第二の脳」ともいわれ、自律神経を介して脳とつながり、メンタル面にも影響を与える可能性があるといわれています[1]また腸内細菌のバランスを整えると免疫力アップにも役立ちます。[2]

腸活でどのような効果が期待されるのでしょうか。現役看護師であり、腸活を実践してきた筆者が「腸は第二の脳」といわれる所以や腸活の方法についてお伝えします。

看護師ライター

山野美夕さん

腸活を実生活に取り入れ、からもこころもすこやかな生活を目指しましょう。

目次

腸が第二の脳といわれる理由

腸には非常に多くの神経細胞が存在しており、脳からの指令がなくても独自に働きます。そのため「第二の脳」とも呼ばれ、感情や認知、行動にも影響を与える可能性があるといわれています。[1]

腸と脳は神経やホルモンを使って互いに連絡を取り合う関係です。腸と脳の密接な関係は腸脳相関とも呼ばれます

看護師ライター

山野美夕さん

ストレスは腸の働きを低下させる場合があり、反対に腸の不調によってストレスが強まる可能性もあると考えられています。[1]

腸内細菌叢(腸内フローラ)と免疫力

腸の中には約100兆個もの細菌が存在し、種類は500~1000あるといわれています。腸内細菌が種類ごとに集まる様子が花畑(フローラ)のようにみえることから腸内細菌叢(腸内フローラ)とも呼ばれます[3]

腸は免疫細胞の約60%以上が存在する人体最大の免疫器官です。[4]

看護師ライター

山野美夕さん

腸内細菌叢(腸内フローラ)が免疫システムに影響を与え、炎症を抑えたり、病原体の体内への侵入を防いだりする機能を果たすと考えられています。[2]

腸の働きと自律神経

自律神経はリラックス時には副交感神経が働き、緊張やストレスを感じているときには交感神経が働きます。副交感神経が働いているときは腸がよく動き、消化・吸収が活発に行われる状態です。

看護師ライター

山野美夕さん

交感神経が働いているときは腸の動きは弱くなり、便秘や下痢を起こしやすくなります。

ストレスで自律神経が乱れると腸内環境が悪くなり、腸内環境が悪いと自律神経が乱れやすいというように相互に影響し合っています[2]

腸活とは

一般的に腸活とは、腸内環境をよりよい状態にするための活動です。具体的にはバランスのよい食事、適度な運動、質のよい睡眠などがあげられます

腸内細菌(善玉菌・悪玉菌・日和見菌)のバランスは善玉菌2割・悪玉菌1割・日和見菌7割が理想的な状態といわれています。[3]

消化吸収を促す、感染を予防する、免疫力を高めるなど、体によい働きをする善玉菌を増やす食べ物を日々の食事に多く取り入れるとよいでしょう。ヨーグルトや味噌、キムチなどの発酵食品には善玉菌が豊富に含まれます。[2]

看護師ライター

山野美夕さん

腸内細菌のエサとなる海藻やきのこ、野菜や果物といった食物繊維やオリゴ糖を含む食品を一緒にとると、より効果的でしょう。[3]

腸活のメリット

腸活で腸内細菌のバランスが整うと、お通じや肌の調子がよくなり、免疫力が活性化するといわれています。[3]ダイエット効果や美肌が期待できるほか、免疫力アップによって健康も維持しやすくなるでしょう

看護師ライター

山野美夕さん

筆者自身も2年ほど腸活を続けており、疲れにくくなり、口内炎や吹き出物ができにくくなったと実感しています。

さらに腸活は、からだだけでなくこころにもよい影響を与える可能性があります。腸活による免疫力アップとメンタルの安定について詳しくみていきましょう。

免疫力アップが期待できる

腸はウイルスや異物を排除する免疫細胞やリンパ球が集まる器官です。鼻や口から入ってくるウイルスや病原体は排除し、食べ物や腸内細菌などの安全なものは排除しないという高度な働きを担っています[4]

腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れは免疫異常や感染症のリスクに関係があるとされています。[3]

看護師ライター

山野美夕さん

腸内環境をよりよい状態に保ち、免疫力をアップして病気に負けないからだづくりをめざしましょう。

メンタルの安定につながる

腸内細菌はストレスを感じたときに分泌されるホルモンの調整に関与し、ストレス反応を和らげます。[2]また、メンタルの安定に働くセロトニンの合成にも関わっており、腸内細菌が増えると気分や行動の安定につながる可能性があります。[2]

プロバイオティクス*の代表格であるビフィズス菌をとると、慢性的なストレスによる抑うつ気分が改善する可能性も示されました。[5]腸内環境を整えるとこころにもよい影響が期待できるでしょう。

プロバイオティクス*:腸内フローラのバランスを改善することで健康に影響を与える口から摂取できる生きた微生物[3]

腸活の方法

実生活でできる腸活方法として、腸内細菌叢のバランスを整えるために有効とされる生活習慣と食生活のポイントをお伝えします。

1.生活習慣のポイント[3]

  • 質のよい睡眠をとる
  • 適度な運動を続ける(ストレッチやお腹のマッサージも有効)
  • 飲酒や喫煙を控える

2.食生活のポイント[3][6][7]

  • バランスのよい食事を心がける
  • ヨーグルトなどの発酵食品に含まれるプロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌)を継続的にとる
  • 食物繊維(果物、海藻などの水溶性食物繊維、ごぼう、豆類、きのこなどの不溶性食物繊維)を積極的にとる
  • 善玉菌を増やすオリゴ糖(たまねぎ、バナナ、にんにくなど)をとる

また、腸の免疫機能をサポートする栄養素としてビタミンDがあります。

ビタミンDには、骨の生育に必須な血中のカルシウム濃度を高める作用のほかに、免疫作用を高めたり、さまざまな病気の予防効果があることが判ってきています。[8]

ビタミンDはイワシや鮭、キノコに多く含まれるほか、日光を浴びることで体内でも生成されるため、日中は屋外で活動的に過ごしましょう[9]

腸内環境は年齢や性別、食事・睡眠・運動・飲酒・喫煙などの生活習慣、基礎疾患の有無などによって人それぞれ異なります。そのため、一般的な腸活がすべての人に適しているわけではありません。

看護師ライター

山野美夕さん

筆者自身の経験では、腸活によって腸内環境を変化させるには数週間かかると実感しています。

大切なのは、生活を見直しながら自分にあった腸活を見つけ、続けることです。からだやこころの変化を十分に観察しながら取り組みましょう。

腸を整えてからだもこころもすこやかに

腸内細菌は肥満や感染症、がんなどとも関連しています。[10]炎症性疾患や自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎、喘息、精神疾患などの病気とも密接に関わると考えられています。[4]

腸内環境が悪化する原因として考えられているのは、偏った食習慣やストレスの多い生活、睡眠や運動不足などの影響です[3]

生活習慣や食生活を見直して腸活で免疫力アップをめざし、安定したメンタルで毎日を送れるよう、本記事を参考にしていただければ幸いです。

看護師ライター

山野美夕さん

腸内細菌は病気との関係もあるため、生活習慣を見直しても不調が続く場合は医療機関を受診しましょう。

引用・参考

引用

[8]国立研究開発法人国立環境研究所>広報活動>新着情報>2013年度>体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定ー札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要ー

参照

[1]Emeran A. Mayer,Gut feelings: the emerging biology of gut–brain communication Nat Rev Neurosci.2013;12(8),p.1,p.3-4,p.6

[2]藤田紘一郎,こころとからだの免疫学ー腸内細菌の働きを中心にー,心身健康科学,2012年8巻2号p.69-72

[3]立垣愛郎.乳酸菌の健康機能.公益財団法人国際全人医療研究所.全人的医療,2019年17巻1号p.10-11p.14

[4]宮本潤基.鈴木卓弥ら.腸内細菌脂質代謝産物に見いだされた腸管バリア保護機能 腸内環境から健康増進.公益財団法人日本農芸化学会.科学と生物,2017年55巻4号p278

[5]Aika Kosugeet al.Heat-sterilized Bifidobacterium breve prevents depression-like behavior and interleukin-1β expression in mice exposed to chronic social defeat stress,Brain Behav Immun. 2021; 96(Abstract)

[6]e-ヘルスネット>栄養・食生活>栄養素等のはたらき>食物繊維の必要性と健康 

[7]高橋美和子.フラクトオリゴ糖と水溶性食物繊維の熱的研究.分析化学.日本分析化学会誌,2016年65巻11号 p667

[9]農林水産省>消費・安全>食育の推進>みんなの食育>世代・ライフスタイル別トピックス>大切な栄養素カルシウム

[10]国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所>NIBIOHN JMD(Japan Microbiome Database)>Outline

この記事の執筆者

看護師ライター:山野 美夕 さん

看護師。2000年から総合病院の内分泌、消化器内科で病棟勤務。その後、透析や療養病棟などの経験を経て、現在は地域に密着したクリニックで勤務中。
こどもからご高齢の方まで幅広い患者さんと接する中で、さまざまなお悩みを聞くことが多く、一人ひとり必要な情報も違います。
日常で抱える不安や疑問を和らげる手がかりとなるような情報を、より身近な形でお伝えできればという思いで活動しています。

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