「帯状疱疹という言葉は聞いたことがあるけど、どんな病気?うつるの?」
「治療法や予防法は?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
薬剤師である筆者も、ドラッグストアで働く中で、市販薬で対応できないか相談に来られた方、後遺症に苦しんでいる方などたくさんの方にお会いしてきました。
帯状疱疹とは、体内に眠っていた水ぼうそうのウイルスが、免疫機能の低下によって再び暴れ出し、皮膚症状や神経の炎症を起こす病気です。激しい傷みが続く場合や、目や耳に後遺症が残ることもあるため、早期治療がとても大切とされています。

山口あかりさん
この記事では、帯状疱疹で苦しむ方が一人でも減るよう、薬剤師である筆者が帯状疱疹の初期症状と治療、予防法についてわかりやすく解説します。
帯状疱疹ってどんな病気?


帯状疱疹は、水ぼうそうの原因にもなる水痘帯状疱疹ウイルスが原因です。ウイルスが原因となると周りから感染して症状が出てくるように感じますが、新たに感染して起こるものではありません。
過去にかかった水ぼうそうのウイルスが、治った後も体内に潜伏し、そのウイルスが再び活性化することで出現する病気です。加齢やストレス、過労などさまざまな要因によって免疫力が低下した際に発症します。[1]
50歳以上から発症率が高くなり、70歳代での発症が最も多く、80歳までに3人に1人が発症するとされています。[2]



山口あかりさん
水ぼうそうにかかったことのある人なら誰でも帯状疱疹になる可能性があり、免疫力の低下によって再発することもあるので注意が必要です。[2]
帯状疱疹の症状


「どんな症状がでたら帯状疱疹を疑えばいいの?」と悩む方も多いでしょう。
帯状疱疹は、まず皮膚の違和感や痛みを感じ、その後水ぶくれができる、といったように時間とともに症状が変化していきます。
ここでは、初期症状や症状のピーク、重症化したときの症状について詳しく解説します。



山口あかりさん
症状を理解して、早期受診を検討、重症化の防止につなげましょう。
初期症状
帯状疱疹の多くは、皮膚症状が目に見え始める前に、「ヒリヒリ」「チクチク」「ピリピリ」などと表現される痛みが現れます。[2]
帯状疱疹の症状は、神経の炎症によって引き起こされるため、神経に沿って体の片側に症状が現れることが特徴です。



山口あかりさん
個人差はありますが、この皮膚の違和感や痛みが数日から2週間続きます。[2]
症状のピーク
皮膚の違和感や軽い痛みが数日続いた後、同じ部位に虫刺されのような少し膨らんだ赤いぶつぶつができ、その上に小さな水ぶくれが発生します。この発疹と水ぶくれは、神経に沿って帯状に広がることが多いです。また、同じ部位に神経痛が起きます。
痛みの感じ方は、「ピリピリ」「ジンジン」「ズキズキ」「焼けるような」「刺されるような」などさまざまです。[2]



山口あかりさん
筆者が薬局でお会いした帯状疱疹の患者さんは、会話の途中で、突然背中のあたりに身動きが取れなくなるほどの痛みを感じていました。
帯状疱疹の重症化
帯状疱疹が重症化すると、帯状疱疹後神経痛といった後遺症や合併症を引き起こすことがあります。
帯状疱疹後神経痛は、皮膚の症状が治まった後も、長期間に渡って続く痛みのことです。神経がウイルスによって傷つけられてしまったことが原因です。軽く触れただけでも痛みが増強するなど、日常生活に支障をきたすおそれがあります。[2]
また、顔に帯状疱疹の症状が現れた場合、眼の炎症や顔面神経麻痺につながることがあります。[2]



山口あかりさん
肺や脳などの臓器に影響が及んだ場合、命に関わることもあるため適切な治療が必要です。[2]
帯状疱疹の治療法


治療法には主に、抗ウイルス薬の内服、痛み止めの内服があります。
治療法 | はたらき | 特徴 | 入手方法 |
抗ウイルス薬の内服 | ウイルスの増殖を抑える。 | 一般的に、皮膚症状が現れた時から5日以内に飲み始めることで、高い効果があるとされています。[2] | 市販薬はないため、病院で医師の診察を受けましょう。 皮膚科や内科がおすすめです。 |
痛み止めの内服 | 皮膚や神経の痛みを抑える。 | 一般的な痛み止めのほか、神経の痛みに特化した薬など、個人に合わせた薬を服用する必要があります。[2] | 年齢や体質、痛みの形状に合った薬を医師に処方してもらいましょう。 |
市販の塗り薬などの安易な使用は、症状を悪化させてしまう可能性もあるので注意が必要です。



山口あかりさん
「痛みが強い、病院が開くまでどうにかしたい」という場合は、普段飲み慣れた痛み止めを一時的に内服し、速やかに受診しましょう。
帯状疱疹の予防法


「じゃあ、帯状疱疹はどう予防したらいいの?」「家族にうつることはあるの?」
と悩まれている方もいるでしょう。
できるなら、帯状疱疹にならずに健康で過ごしたいですよね。



山口あかりさん
帯状疱疹は、体調管理や予防接種などの免疫力を落とさない工夫で予防が可能です。
ここでは、予防法と家族がかかった時の注意点を紹介します。
日頃の体調管理が大切
帯状疱疹は、免疫力の低下が原因なので、疲れやストレスを溜めないことが大切です。



山口あかりさん
風邪などの感染症による免疫力の低下も、帯状疱疹の発生リスクを上げるとされています。[3]
バランスの良い食事と十分な休養、手洗いうがいを心がけ、風邪を引かないよう生活を工夫してみましょう。[4]また、音楽鑑賞やアロマ、趣味など自分がリラックスできる時間を作り、ストレスを発散しましょう。
50歳以降は予防接種も選択肢の一つ
帯状疱疹にはワクチンがあり、帯状疱疹や合併症に対する予防効果が認められています。[1]2025年度から、予防接種法により65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が推奨される運びになりました。[1]
50歳以上の方も、多くの自治体で負担金の助成制度があります。



山口あかりさん
各市町村のホームページや医療機関で確認してみてください。
家族がかかったときの注意
水痘帯状疱疹ウイルスは、帯状疱疹としてうつることはありません。
しかし、水ぼうそうにかかったことのない家族と接触した場合、相手に水ぼうそうを発症させるリスクがあります。[2]



山口あかりさん
水ぶくれがかさぶたになるまでは、皮膚を服などでおおう、タオルを家族で共有しない、お風呂は最後に入るといった対策が必要です。[5]
帯状疱疹と思ったら早めに受診しよう


この記事では、帯状疱疹の症状と治療、予防法について解説しました。
重症化を防ぐためには早期治療がとても大切です。



山口あかりさん
「この症状、帯状疱疹かな?」と悩んだら、皮膚科もしくは内科を受診しましょう。


薬剤師ライター:山口あかりさん
薬学部卒業後、調剤併設型ドラッグストアに勤務。幅広い科目の服薬指導や市販薬の販売を経験。「もっと多くの方に健康で幸せな生活を」という思いでライターを始める。薬剤師としての経験を活かした、読みやすく、わかりやすい文章作成が得意。読者に寄り添い、悩みや疑問を解決できるような記事執筆を行います。
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