「結婚したら夜勤が負担に感じてきた。家庭と両立しやすい働き方に変えたいな……」
「患者さんが病気になる前に自分にできることはないのだろうか……」
「保健師の資格を活かした働き方をしてみたいな……」
看護師として働く中で、仕事と家庭の両立や予防医療分野への興味などから、保健師への転職を検討している方もいるでしょう。
「保健師=行政で働く」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際には医療機関や学校、企業など幅広い職場で活躍しています。
本記事では、看護師から保健師へ転職した筆者の体験談をまじえながら、保健師の働き方や仕事内容、メリット・デメリットについて解説します。

momoさん
転職活動のポイントもお伝えしますので、看護師から保健師への転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
保健師とは


保健師は、保健師助産師看護師法第2条において次のように定義づけられています。
「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
引用:厚生労働省 保健師助産師看護師法(昭和23年7月30日法律第203号)[1]
すべての人々が心身ともに自分らしく健康な生活を送れるようにサポートする予防医療分野における専門職です。保健師になるためには、看護師国家資格を持っていることを前提として、保健師国家試験への合格が必要です。
令和4年末現在、保健師として働いている人は6万299人で、令和2年に比べて4704人(8.5%)増えています。[2]また、おもな就業場所別割合(常勤換算数)は以下のとおりです。[2]
- 市区町村:51.2%
- 保健所:17.2%
- 病院:7.9%
- 事業所:7.1%
- 診療所:3.9%
- 都道府県:3.0%
出典:厚生労働省 令和4年衛生行政報告例[2] より一部抜粋
多くの方が「保健師=行政で働く」というイメージを持つように、行政(市区町村、都道府県、保健所)で働く保健師が約半数を占めています。



momoさん
しかし病院や事業所など、保健師はさまざまな場所で活躍できます。
保健師の働き方・仕事内容


保健師は、働く場所によって支援対象者や業務内容が異なります。それぞれどのような仕事内容か気になりますよね。ここでは、保健師である筆者の経験や資料をもとに、保健師の働き方や仕事内容についてわかりやすくお伝えします。



momoさん
行政、地域包括支援センター、企業、健診センター、学校で働く保健師の仕事内容を知り、今後の働き方をイメージしましょう。
行政
行政保健師とは、都道府県や市区町村の保健所や保健センターなどで公務員として働く保健師です。
保健所は都道府県、政令指定都市、中核市など、保健センターは市区町村に設置されている、地域住民の健康を支える公的な機関です。[3]保健所では精神保健、難病対策、感染症対策など、広域的かつ専門性の高い業務を行います。[3]



momoさん
保健センターは、乳幼児健診や妊婦の健康教室、生活習慣病対策や健診・検診に関する事業、介護予防教室など地域住民に密着した対人保健サービスがおもな業務です。[4]
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、行政直営の場合もありますが、行政から委託を受けた病院や介護施設などの法人運営が一般的です。
保健師は介護予防教室の企画・運営や相談・支援業務、権利擁護*に関する業務などを行います。



momoさん
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、包括的および継続的に支援する役割を担っています。
企業
企業・事業所の保健師は産業保健師と呼ばれています。産業保健師は、会社で働く社員や休職者の心身の健康管理・増進がおもな仕事です。
社員の健康診断を実施し、結果をもとに受診勧奨や保健指導を行い、休職者の復職支援や復職後の面談なども対応します。職場巡視*や安全衛生委員会への参加など、業務内容は多岐にわたります。



momoさん
企業の規模により、保健師の勤務人数や正社員・契約社員などの雇用形態はさまざまです。
健診センター
健診センターでは、会社の健康診断をはじめ、生活習慣病などの各種健診の計測や問診、診察や診療の介助を行います。また、健康診断後の保健指導、職員の健康支援なども保健師の仕事です。
健診センターによっては、企業から産業医面談*の依頼があり、産業保健師の役割を担う場合もあります。産業医面談の際に、医師と企業との連絡調整や職場巡視、安全衛生委員会への参加など、外勤する場合もあります。



momoさん
職場によっては土曜日に出勤する可能性がありますが夜勤はありません。
学校
学校保健師は、生徒や教職員の心身の健康管理を行います。業務内容は、健康診断の実施や保健指導、急病やけがの応急処置、悩み相談などです。
学校における保健活動の中心的な存在は養護教諭で、教育的な視点で健康教育や健康相談などを実施します。



momoさん
一方、学校保健師は、保健師免許を持つ医療従事者として専門的な立場から健康管理を担います。
保健師として働くメリット・デメリット


どの仕事にも働く際のメリット・デメリットはつきものです。実際に働く前にメリット・デメリットをどちらも理解しておくと、働きはじめてからのギャップが少なくて済むでしょう。
看護師から保健師への転職経験を持つ筆者が、保健師として働く際のメリットやデメリットについて紹介します。



momoさん
保健師への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
メリット
保健師として働くメリットには、以下の点が挙げられます。
- 予防医療に貢献できる
- 病院以外のさまざまな場所で活躍できる
- ワークライフバランスを保ちやすい
- 勤務が固定でプライベートのスケジュールが立てやすい
デメリット
保健師として働くデメリットには、以下の点が挙げられます。
- 看護師と比較すると求人数が少ない
- 夜勤がないため、看護師と比べて給与が減ることがある
- 保健師一人体制の職場もあり、教育体制や相談できる環境が整っていない場合がある
保健師への転職活動のポイント


実際に看護師から保健師へ転職した筆者の経験から、転職活動のポイントをお伝えします。
まずは複数の転職サイトに登録しましょう。医療職専門の転職サイトだけではなく、産業保健師は大手サイトのみに掲載される求人もあるため、幅広い情報収集が欠かせません。行政保健師は年齢制限がある場合や募集がない年もあるため、応募するタイミングの見極めも重要です。



momoさん
また、自己分析を通じて「どの世代の」「どのような健康支援に携わりたいか」を明確にしておきましょう。
応募先が決まったら、次は試験対策です。行政では専門試験に加えて公務員試験や小論文が課されることがあります。最近ではSPI試験も増えており、試験内容に応じた勉強が必要です。企業では面接が2回行われるケースもあり、事前の企業分析が欠かせません。
筆者は企業へ応募する際に、転職サイトのサポートを活用しました。



momoさん
書類審査に通りやすい履歴書の書き方や面接でよく聞かれる質問と回答例などを一緒に考えてもらえたので非常に心強いと感じました。
転職サイトの履歴書添削や面接対策を上手に活用し、納得のいく転職活動につなげましょう。
保健師への転職で理想の働き方を手に入れよう


看護師の働き方に悩んでいるけれども、「医療や健康に関わる仕事は続けたい」という方は、保健師に転職してみませんか。これまでの看護師経験を活かして予防医療に関わってみたいあなたには、とくにおすすめします。
看護師から保健師への転職は、健康を支援する視点や働く場所は変わっても、心身ともに健康を願う思いは一緒です。これまでの働き方を振り返り、これからどのように働きたいのか自己分析すると、仕事で大切にしているものが見えてきます。
まずは、行動することが大切です。行動すれば、あなたが理想とする働き方を手に入れやすくなるでしょう。



momoさん
あなたの新しい働き方への挑戦を応援しています。


保健師ライター:momoさん
大学卒業後は、約5年看護師として病棟勤務を経験。その後、予防医療に携わりたいという思いから健診センター保健師や行政保健師として勤務。現在は、産業保健師として働く人々の健康管理・増進に携わる。これまでの経験を活かし、「看護師・保健師転職に関する情報発信」や「医療・健康分野に関する記事の執筆活動」を行っています。
Instagram:https://www.instagram.com/momo_phn
コメント