将来結婚してこどもができたとき、子育てをしながら看護師の仕事が続けられるのか、不安になっている看護師の皆さん。
「育児と仕事の両立は難しいかもしれない。独身のうちに貯金が必要かも……」と夜勤を増やし、身を削る思いで頑張っていませんか?筆者も結婚して1児の母になるまでは、同じ気持ちでした。
本記事では、30代で介護施設へ転職したワーママ看護師の筆者が、介護施設や施設で働く看護師の特徴について詳しくまとめました。

工藤 さやかさん
介護施設での仕事と子育ての両立がイメージしやすいよう、1児の子育て中でもある筆者の1日のスケジュールもお伝えしています。
ぜひ、本記事を参考に、ご自分にあった働き方を見つけられてみてください。
介護施設の種類と看護師の役割


介護施設の種類は複数ありますが、仕事と家庭を両立しやすい介護施設の特徴や、看護師の仕事内容も気になりますよね。



工藤 さやかさん
本章では、そのような疑問を解消するために、介護施設について詳しく紹介していきます。
各介護施設の特徴と、施設で働く看護師の役割についてまとめました。転職を検討した時の参考にしてください。
介護施設のおもな種類
看護師が勤務する各介護施設の種類と、特徴について以下にまとめました。
介護施設 | 特徴 |
特別養護老人ホーム | ・要介護3以上の認定を受けた65歳以上の高齢者が対象(ただし、特例で要介護1・2でも入居可能な場合がある) ・入居型の介護施設 ・終身利用が可能な施設で、基本的に入居期限はない ・24時間体制の介護が受けられる |
介護老人保健施設 | ・要介護1以上で、リハビリを受けながら在宅復帰を目指す方が対象 ・入居型の介護施設 ・長期入居はできず、3~6か月程度の期限が設けられている ・在宅復帰を目指す高齢者に向けたさまざまなサービスが提供されている |
有料老人ホーム | ・自立~要介護5まで幅広く対応 ・入居型の介護施設 ・長期入居が可能 ・24時間体制の介護が受けられる |
デイサービス | ・要支援1以上が利用対象 ・送迎付きで日帰り利用が可能 ・介護や生活支援を受けられるサービスが提供される |
(出典:厚生労働省 介護保険3施設の概要[1]、国土交通省 厚生労働省(老健局)の取組 について[2]をもとに筆者作成)



工藤 さやかさん
有料老人ホームでは、入居者が訪問看護サービスを利用するケースもあり、施設の看護師が夜勤を担当しない場合もあります。
デイサービスは日勤のみの勤務となるため、仕事と育児・家庭を両立しやすい環境といえるでしょう。
看護師の役割
施設看護師は高齢者や慢性疾患の利用者を対象に、健康管理や生活の質向上を支援する役割を担います。
以下に、施設で働く看護師の役割についてまとめました。
- バイタルチェック[3]
- 配薬準備、服薬管理[3]
- 医療処置:投薬、吸引、褥瘡の処置[3](インスリンの管理・投与、経管栄養の管理、在宅酸素療法の管理・ストーマの管理・ケアなども含む)
- 診療時の診察介助
- 感染症対策
- 転倒・転落防止などの安全対策
- 看取り、ターミナルケア
- 看護記録
- 介護業務(トイレ誘導、入浴介助、食事介助など)
- 急変時は医師へ状態報告、指示受け
- 薬剤師へ情報提供
- 介護士やケアマネジャーとの連携



工藤 さやかさん
施設では利用者の生活全般を考慮したケアが求められ、健康維持や快適な環境づくりが必要です。
介護施設で働く看護師のリアル


介護施設は仕事と家庭の両立をかなえたい人や、入居者様としっかりコミュニケーションをとって向き合える人が、活躍できる職場です。
本章では介護施設で活躍できる看護師の特徴や給与、介護施設で働くメリットやデメリットについてまとめました。



工藤 さやかさん
転職を検討する際は、安定した収入と働きやすさのバランスを考えた職場選びが、重要になりますので、ぜひ参考にしてください。
活躍できる看護師の特徴
介護施設では以下のような看護師が活躍しています。
- 子育てや介護、趣味などと仕事の両立をかなえたい人
- 入居者様としっかりと向き合ったコミュニケーションを取りたい人
- ターミナルケア、看取りに興味がある人
- 夜勤はせず、日勤業務のみで働きたい人
介護施設では、子育て・介護と仕事を両立しやすく、入居者様と深く関わりながらケアを提供できます。



工藤 さやかさん
夜勤がない施設もあるため働きやすく、ターミナルケアに関心がある人にも適した職場といえるでしょう。
看護師の給与
介護施設で働く常勤看護師の平均月給は、以下のとおりです。
※1か月あたりの平均給与は賞与を含む金額です。
介護施設 | 看護師の平均月給 | 准看護師の平均月給 |
特別養護老人ホーム | 45万5491円 | 41万9447円 |
介護老人保健施設 | 46万9573円 | 40万9282円 |
介護付き有料老人ホーム | 43万8206円 | 40万6494円 |
デイサービス | 37万5327円 | 35万1740円 |
(出典:令和5年度介護事業経営実態調査結果(厚生労働省)[4]をもとに筆者作成)
介護施設で働くメリット・デメリット
介護施設で働く看護師の、メリットやデメリットをご紹介します。
メリット
- 夜勤がない施設もあるため、家庭と両立しやすい
- 医療処置は病院と比べると少ない
- 残業はほとんどない
- 入居者様と密にコミュニケーションを取りながら支援できる
- 重症の方はほとんど入院となるため、心理的な負担が少ない
デメリット
- 入浴やトイレ誘導などの介助をおこなうため、体力的な負担がある
- 医療処置や勉強会は病院に比べ少ないため、看護師としてのスキルアップには自己研鑽が必要
- 病院と比べると給与が少ない
- 主治医は常駐していないため、連絡報告の判断に責任を感じやすい



工藤 さやかさん
介護施設での看護師は、夜勤がない職場も多く、家庭と両立しやすいのが魅力です。
一方で、医療処置が少なくスキルアップには工夫が必要です。また、病院に比べ給与が低めで、判断の責任を感じる場面もあります。
介護施設へ転職したワーママ筆者の体験談


介護施設で働きながら子育てをする、筆者の1日を紹介します。朝の準備から帰宅後の育児や家事まで、リアルなスケジュールを時系列で表にしました。



工藤 さやかさん
夜勤なしの職場ならではの時間の使い方や工夫も盛り込んでいるので、ぜひ参考にしてください。
1日のスケジュール(幼児1人をワンオペする日)
幼児1人を育てる筆者の、1日のスケジュールは以下のとおりです。
時間 | スケジュール |
6:00 | 起床、朝ご飯の準備、自分の支度 |
7:00 | こどもを起こして着替え、朝食(旦那が洗濯、食器洗い) |
8:15 | 保育園へ送る |
9:00~16:00 | 仕事(時短勤務) |
18:00 | 一旦帰宅し夕飯の支度、洗濯物を取り込む、保育園へお迎え |
19:00 | お風呂、夕飯 |
21:00 | こどもの寝かしつけ |
22:00 | 食器洗い、洗濯物をたたむ(旦那帰宅) |
23:00 | 就寝 |
育児と仕事の両立は大変ですが、工夫次第で充実した毎日を送れます。
筆者がおこなっている、仕事と育児を両立させるための工夫を以下にまとめました。
- 買い物はまとめて休日にする
- 時短料理を活用
- 乾燥機付きの洗濯機や、食器洗浄乾燥機など便利な家電に頼る
- 帰宅後はすぐにお風呂に直行するとスムーズ(食後は眠くなり、お風呂拒否があるため)
- 夕飯のメニューは前日に考え、寝る前や朝に野菜を切っておく、こどもの寝る時間はできるだけ厳守する
- 時短勤務が利用できるように、早めの転職がおすすめ
- スケジュール管理を徹底し、効率的に業務を進める
- 上司や同僚と連携し、柔軟な働き方を相談する



工藤 さやかさん
こどもの寝る時間を守ることで、朝起きる時間が遅くなったり、不機嫌でご飯を食べられなかったりといった状況を防ぎます。
時短勤務を検討し、早めの転職を視野に入れるのも良い選択肢です。
仕事と育児の両立は介護施設がおすすめ


介護施設は夜勤の有無や勤務形態が施設ごとに異なりますが、仕事と子育てを両立したい人にとって働きやすい環境が整っています。時短勤務や日勤のみの選択肢もあるため、家庭とのバランスが取りやすいのが特徴です。
転職を考える際は、勤務時間や福利厚生をチェックし、自分のライフスタイルに合った職場を選ぶことが大切です。



工藤 さやかさん
本記事を参考に、転職後の働き方を具体的にイメージしてみてください。


Webライター:工藤 さやかさん
現役看護師として働きながらWebライターとして活動中。精神科病院や介護施設で10年以上の経験を積む。私生活では2人の子供の母親。趣味はプロテイン、サプリ、運動など。日々健康管理に気を配り、美容や健康に対する様々な情報収集と実践を行っています。医療従事者として、読者が安心できる正確な情報をお伝えします。
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