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【耳鼻科ナースが解説】こどもが中耳炎?症状の見分け方と家庭での対処法

こどもが突然「耳が痛い!」と泣き出した経験はありませんか?
このような時、どうしたらいいのかわからず、不安で胸がいっぱいになりますよね。

中耳炎はこどもに多い病気です。こどもの痛がっている姿を見ると、つい慌ててしまいがちですが、症状のサインを見逃さず適切に対処すれば、大きなトラブルを未然に防ぎやすくなります

とはいえ「すぐに病院に行くべき?」「家でできる対策は?」と迷う場合もあると思います。とくに、はじめてだとなおさら心配ですよね。

本記事では、看護師ライターの筆者が耳鼻科での豊富な経験をもとに、こどもの中耳炎について詳しく解説します。

看護師ライター

佐々木マサコさん

中耳炎のおもな症状や受診の目安、家庭でできる対処法まで、親御さんが知っておきたいポイントをわかりやすくまとめました

中耳炎について「今すぐ知りたい!」という想いを、しっかり支える内容になっています。ぜひ最後まで読んで、いざという時の安心につなげてください。

目次

中耳炎とは?こどものおもな症状

夜中にこどもが耳を痛がり泣き出すと、「もしかして中耳炎?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。

中耳炎は、風邪や鼻炎などがきっかけで起こりやすく、とくに乳幼児に多い病気です。[1]

早期に気づいて適切に対処すると、重症化や再発を防ぎやすくなります

看護師ライター

佐々木マサコさん

変化に早く気づくためにも、まずは中耳炎がどのような病気か知り、症状の特徴を見ていきましょう。

中耳炎とはこんな病気

中耳炎とは、耳の奥にある「中耳」という部分に炎症が起きる病気です。多くは風邪などが原因で鼻や喉にいるウイルスや細菌が耳に入り込み、感染を起こします。

耳と鼻は耳管とよばれる管でつながっています。こどもの耳管はおとなにくらべて短く、まっすぐな形状です。そのためこどもは菌が耳に届きやすく、中耳炎にかかりやすい傾向があります

看護師ライター

佐々木マサコさん

中耳炎のおもな症状として、耳の痛み、発熱、耳だれ、機嫌の悪さなどがみられます。[1][2]

年齢別(乳児・幼児・小学生)の症状

年齢によって中耳炎の症状の出方は少しずつ異なります。

看護師ライター

佐々木マサコさん

本章では、乳児・幼児・小学生それぞれに特徴的な、中耳炎の症状を紹介します。

年齢症状
乳児(0~1歳ぐらい)このころは言葉で痛みを伝えられません。そのため機嫌が悪く、耳を手でさわる様子が見られます。[2][3]
幼児(2~6歳ぐらい)耳の痛みを訴える、夜中に泣き出す、熱がでるケースが多く、耳だれが出る場合もあります。[1]
小学生以上耳の痛み、聞こえが悪くなる、耳が詰まるような感じを訴える場合があり、自分の症状をより具体的に説明できるのが特徴です。[1]
こどもの年齢別中耳炎の症状

こどもの中耳炎はいつ受診する?注意点を解説

中耳炎でみられる症状や重症度はこどもによってさまざまです。すぐに受診すべきか、様子を見てよいのか、迷う方もいるでしょう

看護師ライター

佐々木マサコさん

受診のタイミングを見極めるのは、適切な治療と早期回復のためにとても大切です。

ここでは、耳鼻科受診の目安と、自宅で様子を見る際の注意点をまとめました。受診のめやすに、本章を参考にしてください。

この様なサインは耳鼻科に受診を

耳鼻科を受診したほうがよい症状のめやすを、ご紹介します。こどもの体調の変化は見分けがつきにくいこともあるので、参考にしてください。具体的には以下のような症状が、受診のめやすです。

  • 強い耳の痛みが続く[4]
  • 耳だれが出ている[4]
  • こどもが頻繁に耳を触る、機嫌が悪い[3]
  • 聞こえが悪いように感じる[4]

ほかにも、38℃以上の熱が3日続いている0~2歳児の半数以上に中耳炎が見られたという報告があるので、発熱が続く場合も注意が必要でしょう[5]

看護師ライター

佐々木マサコさん

また、発熱や痛みが強い場合は、感染が進んでいる可能性があるため、早めに耳鼻科を受診しましょう。[2]

様子を見るときに気をつけたいこと

夜間やすぐに病院に行けない場合、まずはこどもの様子をよく観察しましょう。熱がそれほど高くなく、耳を気にしている様子がなければ、一晩様子を見ても問題ない場合もあります

看護師ライター

佐々木マサコさん

ただし、痛みや発熱が長引くと、中耳炎が悪化する可能性があるため、翌日には必ず耳鼻科を受診しましょう。

家庭でできる中耳炎の対処法

「今すぐ病院に行けないけれど、痛がっている……」そのような時にできる家庭での応急的なケアを知っておくと安心です。

こどもの不安を和らげ、症状の悪化を防ぐためにも、落ち着いて対応できるよう備えておきましょう

看護師ライター

佐々木マサコさん

ここでは、こどもの負担を少しでも軽くするために、ご家庭でできる3つのポイントをご紹介します。

痛がるときは冷やそう

こどもが耳を強く痛がっているときは、保冷剤を使って耳のまわりを優しく冷やしましょう[6]冷やすと炎症が少しやわらぎ、痛みを軽減できる場合があります。

看護師ライター

佐々木マサコさん

ただし、長時間の冷却は凍傷や皮膚のトラブルにつながる恐れもあるので、こどもの様子を見ながら行いましょう。

熱が高い、痛みが強いときは痛み止めを

発熱や強い痛みがある場合は、小児用解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を使うと楽になるケースがあります[7]

痛みを我慢させすぎると、眠れなかったり、食欲が落ちたりして体力が奪われてしまうことがあります。処方されている解熱剤がある場合は、つらそうな様子が見られたら、無理をせずに使ってあげましょう。

看護師ライター

佐々木マサコさん

解熱剤の使用時は、医師や薬剤師の指示どおりに使用することが大切です。

頭を高くして寝かせよう

頭を少し高くして寝かせると、耳の中の圧が調整され、痛みがやわらぐ場合があります

クッションやタオルを枕の下に重ねて、高さを少しつけてあげましょう。

看護師ライター

佐々木マサコさん

ただし、急に角度をつけすぎると首に負担がかかることがあるので、こどもがリラックスして寝られる姿勢を確認しながら、無理のない範囲で調整することが大切です。

痛みがつらそうなときには、ぜひ取り入れてみてください。

中耳炎を繰り返さないための予防法

「やっと治ったのに、また中耳炎に…」そのような経験をした親御さんも多いのではないでしょうか?

こどもは耳の構造が未発達なため、どうしても中耳炎を繰り返しやすい傾向があります。しかし日常生活でちょっとした工夫を取り入れることで、中耳炎の再発リスクを減らせます

看護師ライター

佐々木マサコさん

ここでは、家庭でできる予防の工夫をご紹介します。

風邪は長引かせない

中耳炎の多くは、風邪をきっかけに発症します。とくにこどもは、鼻やのどの炎症が耳に広がりやすい特徴があります。風邪をひいたら早めに小児科を受診し、治療を受けましょう

看護師ライター

佐々木マサコさん

また、体をしっかり休ませる、室内の湿度を保つ、水分をこまめにとるなど、家庭でできる風邪ケアも中耳炎予防につながります。

鼻水はこまめに吸う

まだ自分で上手に鼻水をかめない乳幼児の場合は、鼻吸い器を使ってこまめにケアしてあげましょう。

筆者が耳鼻科で勤務する中でご家族から、鼻水を吸う回数についてよく質問されます。

看護師ライター

佐々木マサコさん

答えとしては「何回吸っても大丈夫」です。回数に上限はないので、鼻水が気になったら何回でも吸ってあげてください

こまめに鼻水を吸って中耳炎を予防しましょう。

たばこの煙から離れる

たばこの煙は耳の中の粘膜を刺激し、中耳炎にかかりやすくなる原因になります。家庭内に喫煙者がいる場合は、完全に分煙するか、こどもの前では吸わないようにしましょう。

看護師ライター

佐々木マサコさん

中耳炎が悪化すると、しばらくのあいだ耳が聞こえにくくなったり、まれにずっと聞こえにくくなることもあります。

たばこの煙からなるべく離れて生活しましょう。[8]

中耳炎への不安を減らし、対応を知っておこう

中耳炎はこどもにとって身近な病気ですが、はじめて経験する親にとっては不安も大きいものです。

しかし、症状や対処法を知っていれば、慌てずに落ち着いて行動できます。

家庭での観察やケア、受診のタイミング、予防までを日ごろから注意すれば、こどもの耳の健康を守れます

看護師ライター

佐々木マサコさん

不安になったときこそ、正しい知識を持って安心して対応していきましょう。

この記事の執筆者

看護師ライター:佐々木マサコさん

看護師経験23年。大学病院に10年間勤務。整形外科、形成外科、眼科、耳鼻科、消化器内科、脳神経外科などを経験。現在は耳鼻科クリニックで勤務。私生活では2人のこどもの母親。いままでの経験を活かしWebライターとして活動。読者の不安や疑問に寄り添い、正確でわかりやすい情報を丁寧に届けるよう心がけています。

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