これから看護師を目指されている高校生の方の中には、学校選びに悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その際、重要になってくる検討要素の一つに奨学金制度の有無があげられるでしょう。実際、看護専門学校の学費は決して安くはなく、在学中は勉学が忙しいのでアルバイトとの両立はあまり望めません。
「学費はいくらかかるの?」「奨学金を借りても返せるか心配」
こうした不安は、これから夢に向かって進む皆さんにとって大きなハードルです。
医療ライター荒川リュウさん
奨学金制度を上手に活用すれば金銭的な心配を減らし、勉強に専念できます。
本記事では、看護学生のお金事情や実際に看護師になった際の給料、奨学金返済の実態について、現役看護師の体験談を踏まえて解説します。
看護専門学校と大学の学費を比較


看護師になるためには、大学の看護学科や看護専門学校に通うのが一般的です。大学と専門学校では、就業年数や教育内容の違いから、卒業までにかかる総費用に差が生じます。



荒川リュウさん
3年制の私立看護専門学校と大学の看護科の学費が、具体的にはどれくらいかかるのか、筆者の経験も踏まえてご紹介いたします。
ぜひ、学校選びの参考にしてみてください。
看護専門学校の学費
筆者の経験として、3年制の私立看護専門学校で卒業までにかかる学費総額は約280~300万円でした。
看護専門学校の学費には授業料や、入学金、実習費、設備費などがあり、その多くを授業料が占めています。学校内での座学だけではなく、病院などの実習先での学習もあることが特徴です。実習費に加え、実習服などの実技で使用する物品の種類も多いため、設備費もかかります。



荒川リュウさん
在学中、学業に専念するためには学費以外に生活資金も必要となります。
大学と比べた学費のメリット
文部科学省の令和5年度の調査によると、私立大学における看護学科(保健区分)の初年度納付金は150万1799円です。[1]入学金を除いた4年間の学費に実習費やその他の費用を加えると、総額は約542万円となります。[1]
専門学校の場合は、大学の看護学部での資格取得に比べ、一年間早く卒業が可能です。そのため、大学に比べて一年間の学費負担を軽減できます。早く収入を得られるだけでなく、在学期間中の生活費を節約できるメリットもあります。



荒川リュウさん
実際、筆者もこのメリットから専門学校を選び、進学することを決めました。
利用できる奨学金、教育ローンの種類


看護をはじめ、専門的な教育を受けるための学費や生活費は決して安くなく、経済的な負担が懸念される方も多いでしょう。
そのような方のために、看護学校進学を経済的にサポートするための奨学金制度は複数存在しています。
ここでは看護学生が利用できるおもな奨学金制度について解説していきます。



荒川リュウさん
自身に合った最適な制度を見つけるための参考にしてください。
日本学生支援機構の奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金制度は、看護専門学校だけではなく幅広い分野の進学に使用可能な制度です。給付型、返済型の二種類があり貸与額や月額給付額など細かく設定がされています。



荒川リュウさん
詳しくは、文部科学省の下記ページにて、奨学金事業の充実の項目をご覧ください。
金融機関の教育ローン
金融機関の教育ローンは、学生でも借りやすく返済しやすいローンです。
在学中は返済金額が少なく、就職後にしっかりと返済するものもあります。



荒川リュウさん
一般的なローンと同じ扱いのため、延滞すると利息が生じるほか、信用情報の面で今後の借り入れに影響するといった欠点もあります。
国の教育ローン
国の教育ローンは無担保で借りられるため初期費用が少ない方でも借りられます。[3]固定金利、長期返済が可能といったメリットがある一方で、上限額が決まっており学校選びが難しいといったデメリットもあります。[3]
学校の奨学金制度
病院を母体とする看護学校には学校の奨学金制度を設けているところも少なくありません。学校卒業後に数年間指定の病院で働くことで一部免除になり返済が不要になるなど金銭的な負担の軽減にもなります。



荒川リュウさん
卒業後の給与支給額の概算を立てやすいため、返済金額も明確になり見通しを持つことができます。
奨学金の返済について


奨学金制度にはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
では、実際に奨学金を借りて看護学生や看護師になった場合、返済はどのようにしていくのでしょうか。
看護学生時代は座学と実習を乗り越え、さらに国家試験を突破しなければならず、学業とアルバイトの両立は簡単ではありません。学業に専念できる環境が望ましいと考えます。
お金の見通しを持つことは、将来の安心材料につながります。



荒川リュウさん
ここからは筆者の体験をもとに、学校の奨学金制度を利用した返済について、お伝えしていきます。
奨学金の返済方法は?
学校の奨学金制度の多くは、卒業後に一定期間、指定の病院で働くことによって免除される仕組みになっています。勤務期間中は給与から一定額が天引きされるケースもありますが、その分、授業料や実習費などの負担が軽減されます。



荒川リュウさん
天引き額の割合は学校によって異なるため、事前に調べておきましょう。
給料からの天引きは手取り額が減るので生活が大変だと思われがちですが、寮や社員食堂など福利厚生の活用で出費を抑えられます。
一年目看護師の給料と返済例
筆者は3年制の寮付き看護学校を卒業後、附属の精神科病院にて3年間勤務しました。
学校の奨学金制度を利用し、総額600万円の貸与を受けたためです。
卒業後に3年間働くことで学費の返済が免除され、食費や寮費については月5万5000円が給与から天引きされる仕組みでした。
看護師として働きはじめた一年目の6月ごろより夜勤が始まり、収入も安定。手取りは16~18万円程度で、社宅を月1万5000円で利用できました。



荒川リュウさん
福利厚生の活用で出費を抑えつつ、筆者は趣味のキャンプや旅行も定期的に楽しめました。
奨学金で憧れの看護師になろう


奨学金を利用して看護学生になるイメージはつかんでいただけたでしょうか?
看護師は資格取得後も継続的な学習が必要で、成長し続けられる専門職です。



荒川リュウさん
医療・福祉・教育など、幅広い分野で活躍できる資格であり、自分の可能性を広げられる素敵な仕事だと筆者は思います。
自分にあった奨学金制度を利用して看護学生としての一歩を踏み出し、夢の看護師を目指しましょう。


医療ライター:荒川リュウさん
看護専門学校卒業後、精神科病院にて急性期や閉鎖病棟に勤務。転職を機に救急科や夜勤アルバイトなど多様な働き方を経験。現在は訪問看護ステーションにて精神科看護をはじめ小児科にも挑戦中。2025年から医療ライターとして活動を開始し、訪問看護師のかたわら医療ライターとして活動中。読者に寄り添い、分かりやすい文章執筆を心がけています。









コメント