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【日焼け止めを成分から選びたい人へ】紫外線吸収剤と紫外線散乱剤について薬剤師が解説

日焼け止めは世の中にたくさんの種類が販売されています。紫外線吸収剤や散乱剤の違いとは?ノンケミカルはなぜ良いと言われているのか?理解して購入している方は少ないかもしれません

知らずに日焼け止めを購入してしまうと、使用感が思ったのと違う、使いにくい、と感じる可能性があります。夏は毎日使用するものだからこそ、「白っぽくならないもの」「将来のシミ・しわ予防ができるもの」など自分に合う日焼け止めを自分で選べたら嬉しいですよね

薬剤師ライター

今井まいさん

この記事では現役薬剤師である筆者が、日焼け止めに含有している紫外線吸収剤、散乱剤の見分け方や特徴を解説しています。


成分による違いを知って、自分に合う日焼け止めを選んで過ごしましょう!

目次

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤とは

日焼け止めを塗っていない場合、紫外線を遮るものがないため素肌は日焼けをしてしまいます。日焼け止めの成分は主に下記の2つであり、日焼けを防ぐ仕組みが違います

  • 紫外線吸収剤
  • 紫外線散乱剤

それぞれ詳しく解説します。

化合物が紫外線を吸収して日焼けを防ぐ「紫外線吸収剤」

紫外線吸収剤は、肌の表面で紫外線を吸収して日焼けを防いでいます。

肌の上で紫外線と化学反応を起こし、それにより紫外線が直接肌に届くのを防いでいるのが「紫外線吸収剤」の仕組みです

吸収した紫外線は、熱などのエネルギーに変換して放出されています。[1]

成分が紫外線を散乱させて日焼けを防ぐ「紫外線散乱剤」

肌で紫外線を乱反射させ、肌に紫外線が届くのを物理的に防いでいるのが、「紫外線散乱剤」です
紫外線散乱剤の成分の多くは細かい粉末状であり、塗ることによって散乱剤の粉末が均一に肌を覆うことができます。

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の見分け方3つ

紫外線吸収剤と散乱剤の見分け方は、主に以下の3つです。

  • 成分名
  • 使用感
  • 表記

それぞれの見分け方について、詳しくご紹介します。

成分名で見分ける

紫外線吸収剤と散乱剤は、成分名から見分けることができます

化粧品は、パッケージや製品に全成分の表記が義務付けられています。日焼け止めも化粧品の1つであり、1番多く含まれている成分がはじめに表記されているので、購入時はぜひチェックしてみてくださいね。

日焼け止めに含まれる主な成分は、下記の表になります。[2]

紫外線吸収剤紫外線散乱剤
・メトキシケイヒ酸オクチル
(あるいはメトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
・ジメチル PABA オクチル
・t- ブチルメトキシジベンゾイルメタン 等
・酸化亜鉛
・酸化チタン

使用感で見分ける

薬剤師ライター

今井まいさん

日焼け止めは、製品によって使用感が違うと感じませんか?
塗ったときの使用感も、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤、どちらが含まれているかの目安になります

吸収剤と散乱剤の使用感の違いについて、以下の表をご参考ください。

紫外線吸収剤紫外線散乱剤
・塗ったときに白くみえない
・油っぽくベタつきを感じやすい
・塗ったときに白くみえやすい
・きしみ感がでやすい

表記で見分ける

「ノンケミカル」「ケミカルフリー」の表記があるのは紫外線散乱剤使用のものです
紫外線吸収剤は成分が「有機化合物=ケミカル」と表記されるからです。
そのため、紫外線吸収剤使用の日焼け止め=紫外線散乱剤使用の日焼け止めが「ノンケミカル」と表記されています。

また、肌への刺激も紫外線散乱剤の方が少ないと言われているため、「子ども用」「敏感肌用」と表記のある製品で使用されていることが多いです。[2]

薬剤師ライター

今井まいさん

「紫外線散乱剤はノンケミカルで肌に優しい」と覚えておきましょう!

紫外線吸収剤紫外線散乱剤
・「有機化合物=ケミカル」配合、肌が弱い人は注意が必要・ノンケミカルのため、アレルギーを起こしにくい

UVA・UVBの違いと日焼け止めの表記について

紫外線には種類があり、人間が受ける影響も違います。ここでは紫外線UVA・UVBの違いと、日焼け止めの「SPF」と「PA」表記について解説します

紫外線UVAとUVBの違い

紫外線(以下UV)はA、B、Cの3種類あり、そのうち地球に届くのはUVAとUVBです。
UVAとUVBの違いを以下の表にまとめています。

UVAとUVBの違い[2][3][4][5]

UVAUVB
・肌を黒くする
・窓ガラスを透過
・しわの原因
・地球に届く量が多い
・肌を赤くし炎症を起こす
・曇りでも8割以上が地表に届く
・シミ・しわの原因
・地球に届く量は少ない
・皮膚がんの主な原因

肌が赤くなるUVBの防止効果を表す「SPF」

SPFはUVBを防ぐ効果を数値化して表しており、UVBが当たると肌が赤くなる性質を利用して測定されます。[2]

SPFの数値は2〜50までで表記され、数字が大きくなるほどUVBを防ぐ効果が高いです。
紫外線散乱剤に使用される成分である酸化チタンは、UVBを防ぐと言われています。

肌が黒くなるUVAの防止効果を表す「PA」

UVAの防止効果は数値化できないため、「+」で表したものが「PA」です。[2]

PA+〜++++まであり、「+」が多いほどUVAを防ぐ効果が高いです。
紫外線散乱剤に使用される成分である酸化亜鉛は、UVAを防ぐと言われています。

成分を理解して自分にあう日焼け止めを選ぼう

日焼け止めは、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤のどちらが使われているかにより、使用感が大きく変わります。また、日焼け止めの使用は、私たちが日常に取り入れられるシミ・しわ対策にもなるでしょう。UVAとUVBは私たちにさまざまな影響を与えるため、日頃から適切な日焼け対策を行うことが重要ですね。

薬剤師ライター

今井まいさん

筆者も以前は「ノンケミカルの方がよい」でも「乾燥しやすい日焼け止めは肌によくない」など、成分を理解しない考え方をしていました。

最近はどちらも配合しているものや成分量が調整された、お互いのデメリットがカバーされている日焼け止めも販売しています

日焼け止めの成分や特徴を知り、たくさんある日焼け止めの中から自分に合うものを選んでくださいね。

この記事を書いた人
薬剤師ライター:今井マイさんのアイコン

薬剤師ライター:今井 マイさん

薬学部卒業後、調剤薬局で薬剤師として多くの科の処方を扱い、のべ6万人の服薬指導を経験。患者と話をする中で、誤った健康情報や治療方法が数多く出回っていると実感。正しい知識を知ってほしいという思いで、「難しい専門用語をわかりやすく解説」をモットーに医療ライターとして活動しています。

Twitter:https://twitter.com/ma_imaima_i07

今井さんも受講、医療ライター講座の概要はこちら

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