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腸内環境とアトピー改善のつながりとは?30年来のアトピーが改善した方法と体験談を紹介

近年急増しているアトピー性皮膚炎(以下、アトピー)。なかなか改善せず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。以前から腸内環境の乱れがアトピーと関連している可能性があると言われてており、数多くの研究がおこなわれています。

薬剤師ライター

Keikoさん

この記事では、薬剤師である筆者が「腸内環境を整えるとアトピーは改善するのか?」「腸内環境を整える方法」について解説します。
また、アトピー歴30年である夫のアトピー改善体験談を紹介するので、アトピーに悩んでいる方はぜひご覧ください。

目次

アレルギー疾患が急増中!アトピーの患者数や年代を知ろう

近年、アトピーを含むアレルギー疾患の患者は急増中。
アトピーを含むアレルギー疾患の患者は、2005年に全人口の約3人に1人でしたが、2011年には約2人に1人となり、急速に増加しています。[1]

薬剤師ライター

Keikoさん

まずは、アトピーの患者数や年齢別の患者数の割合について知っていきましょう!

アトピーの患者数は、2014年で推計45.6万人と報告されています。[1]
また、年齢別の患者数の割合が過去の疫学調査で示されました。アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021によると、小児アトピーの全人口に対する患者数の割合は、2000~2002年度の調査で以下の通りでした。[2]

年齢割合
4ヶ月児12.8%
1歳6ヶ月児9.8%
3歳児13.2%
小学1年生11.8%
小学6年生10.6%

一方、成人アトピーの全人口に対する患者数の割合は、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021によると、2006~2008年度の調査で以下の通りでした。

年代割合
20歳代10.2%
30歳代8.3%
40歳代4.1%
50+60歳代2.5%
薬剤師ライター

Keikoさん

この結果から、小児だけでなく、20-30歳代の成人でもアトピーの人が増えている可能性があるといえますね。

腸内環境を整えることと、アトピー改善のつながりとは

腸内環境の乱れがアレルギーにつながるしくみと、腸内環境改善のアトピーに対する効果について解説します。

腸内環境の乱れとアレルギーのつながり

腸は免疫細胞の70%が集まり、免疫の調整をしています。また、人の腸管には約1000種、100兆個以上の腸内細菌が生息し、腸内フローラとも呼ばれる腸内細菌叢(そう)を作っているといわれています。[3]

アトピーはアレルギーの一種で、リンパ球が原因です。リンパ球には、免疫を強めるもの、免疫を抑えるものの2種類があり、人はこのバランスを保って過ごしています。免疫を抑えるリンパ球をTreg(制御性T細胞、ティーレグ) と呼び、腸内細菌の働きによって増えます。腸内細菌が乱れるとTregが少なくなり、アレルギーの発症につながるのです。[4]

腸内環境を整えると、アトピー改善が期待されるのか?

腸内環境を整えることは、アトピーの治療として確立していません

理由は、数多くの研究で、善玉菌を増やすものを摂取するとアトピーが良くなるとの結果が示されている一方で、効果が認められなかった研究も存在しているからです。[5][6][7]
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021でも、各試験結果などの記載はありますが、実用化や臨床応用は今後さらなる検討が必要とされています。[2]

しかし、腸内環境を整えることは、多くの有効性を示す試験からもアトピー改善の可能性が期待でき、日常に取り入れやすく害もほとんどないと考えられます

薬剤師ライター

Keikoさん

そのため、通常のアトピーの治療と並行して、腸内環境を整える生活を試してみてもよいでしょう。

腸内環境を整える方法9選

乱れた腸内環境を整えるにはどうしたら良いでしょうか。様々な方法がありますが、ここでは代表的な9つの方法を、3つに分類して紹介します。

善玉菌を増やす食べ物を食べる方法3選

薬剤師ライター

Keikoさん

善玉菌を増やす食べ物は2種類あります。

①善玉菌(プロバイオティクス)を直接摂取する

善玉菌を多く含む食品として、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物、キムチ、味噌などの発酵食品があげられます。食品からの善玉菌はある程度腸内に存在しても、住みつくことがないといわれています。そのため、続けてとることが必要です。[3]
善玉菌のサプリメントや市販薬もあるので、食品でとれない時など上手に活用しましょう

②善玉菌を増やす作用のある食品(プレバイオティクス)を摂取する

食品成分としてはオリゴ糖、食物繊維があります。食物繊維は水に溶ける「水溶性」と溶けない「不溶性」があり、善玉菌を増やすには、特に「水溶性」が効果的です。[8]
健康食品としてのオリゴ糖もうまく活用するとよいでしょう。

オリゴ糖を多く含む食品野菜:玉ねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガスなど
果物:バナナなど
豆類:大豆など
水溶性食物繊維を多く含む食品大麦
野菜:玉ねぎ、大根、ごぼう、にんにく、らっきょう、エシャロットなど
果物類:キウイフルーツ、パパイヤなど
海藻類:わかめ、こんぶなど

③シンバイオティクス

プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせてとることをシンバイオティクスといいます。善玉菌とそのエサを一緒にとることで、より効果的になります。

食生活を整える方法3選

薬剤師ライター

Keikoさん

腸内環境を整える食生活を3つ紹介します。

①バランスのよい食事を心がける

たんぱく質や脂質が中心の食事は悪玉菌を増やしてしまいます。[3]バランスのよい食事をとるように心がけましょう。

②お酒を飲みすぎない

アルコールのとりすぎで悪玉菌が増え、腸内で作られる毒素が増えるという報告があります。[10]お酒の飲みすぎに気を付けましょう。

③砂糖をとりすぎない

砂糖をたくさんとると、悪玉菌が増えてしまいます。[11]砂糖たっぷりの甘いお菓子や清涼飲料水などのとりすぎに注意しましょう。

生活習慣を整える方法3選

薬剤師ライター

Keikoさん

腸内環境を整える生活習慣を3つ紹介します。

①運動する

運動は善玉菌を増やすという報告があります[10]。ウォーキングやゆっくりのジョギング、水泳など少し息が上がる程度の運動を習慣化できるとよいですね。

②十分な睡眠をとる

睡眠不足になると自律神経が乱れ、腸の動きも乱れてしまいます。十分な睡眠時間を確保する、寝る前にリラックスするなど質のよい睡眠を心がけましょう。

③疲れ、ストレスをためない

疲れとストレスは自律神経を乱して、腸の動きが乱れる原因となります。日ごろから休息することを意識し、ストレスを解消するとよいでしょう。

【体験談】腸内環境を整え、30年来のアトピーが改善!

最後に、筆者の夫の体験談を紹介します。

薬剤師ライター

Keikoさん

あくまで一例なので、ご参考までにお読みください!

当時のアトピー症状について

30代男性。小学校低学年頃から、症状の波はあるものの、常にアトピーに悩まされていました

背中一面、膝の裏や肘などの関節部分、手指に痒みを伴う皮疹が出て、手指にはぱっくり割れた傷が現れることも。20代頃から背中の皮疹はほぼなくなりましたが、他の皮疹は良くなったり悪くなったりを繰り返していました。重症度については医師から言われていませんでしたが、軽度~中等度を行き来しているアトピーと考えられます。

治療は、必要時に保湿剤やステロイド剤を塗布していました。皮膚の炎症が強い時はベリーストロングのステロイド剤を使用することも。また、大学生の時に一度症状がひどくなり、ステロイド内服薬を1週間飲んだこともあります。

改善したきっかけは、プレバイオティクスの摂取

ぱっくり割れた複数の傷が手に出ている時に、プレバイオティクスをとる生活を始めました。すると、1週間もせず、傷がすっかりきれいになりました。かさつきも消え、皮膚がそれまでになくよい状態になり、筆者も夫も驚いたほどです。

薬剤師ライター

Keikoさん

現在は、シンバイオティクスを実践。たまに悪化することもありますが、今では以前ほどアトピーが悪化しなくなりました

アトピーに悩む人は、腸内環境を整えてみよう

この記事では腸内環境の改善とアトピーの関係腸内環境を整える方法について解説し、実際に改善した体験談を紹介しました。

腸内環境を整えることはアトピーの治療として確立していないものの、有効性を示す試験もあり、アトピーを改善する可能性が考えられています

薬剤師ライター

Keikoさん

アトピー改善に向けて、通常の治療とともに、腸内環境を整える生活を試してみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

薬剤師ライター:Keikoさん

北里大学薬学部卒、ロンドン大学School of pharmacy臨床薬学修士修了。製薬企業で副作用情報の収集・評価業務に従事。その後、病院薬剤師として勤務。仕事を通して、多くの医療情報から必要なものを検索し、適切に評価して提供することの大変さと大切さを実感している。「正しい情報を、分かりやすく」がモットー。3児の育児にも奮闘中。

Keikoさんも受講、「医療ライターのはじめかた」講座はこちら

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