「みため年齢」が老けていると「からだ年齢」も老けている傾向にあるという報告があります。[1]
- お肌の曲がり角を感じた時
- 日常活動で節々に違和感を持つ時
上記のように年齢を重ねる中で、美容・健康維持成分の一つである「コラーゲン」を意識する方もいるのではないでしょうか。
ばばともかさん
しかし、「コラーゲンサプリの摂取は本当に効果があるの?」と気になる方もいるでしょう。
最近の研究では、コラーゲンサプリの摂取により、コラーゲンペプチドの状態で体内に吸収され皮膚に到達するという結果が報告されています。〔2〕
今回の記事では、以下のような気になる内容について、色々な美容・健康サプリを試してきた薬剤師の筆者が解説します。
- コラーゲンサプリの摂取は本当に効果があるのか
- コラーゲンサプリの4つの選び方
- コラーゲンサプリをムダにしない2つの栄養素
この記事を読むことで、コラーゲンサプリを取り入れるべきかを判断でき、食生活も見直すきっかけになるでしょう。
コラーゲンについて知ろう
コラーゲンと言えば美容と結びつくことが多いですが、私たちのからだを構成する成分としてさまざまな役割を担っています。
ばばともかさん
身近なようで意外と知らない、コラーゲンについて解説します。
コラーゲンは、体に必要不可欠な成分
コラーゲンは、繊維状のタンパク質です。私たちのからだを構成する全タンパク質の約30%を占め、皮膚や血管、腱、歯、角膜などさまざまな組織に存在しています。[2]
肌のハリや弾力を保つために欠かすことのできないコラーゲンですが、加齢とともにその量や質は低下すると言われています。60代では20代の頃の約50%にまで減少する場合もあるようです。[3]減少する理由としては、以下の2点が考えられます。
- 加齢によりコラーゲンを作り出す力が衰える
- 紫外線や乾燥など外部からの刺激によるダメージ
上記のようにコラーゲンはからだに不可欠な成分であるため、減少すれば見た目の老化や体調不良の原因になり得るでしょう。
コラーゲンの種類
コラーゲンは、約30種類近くの存在が明らかになっています。発見された順番にローマ数字で型が分類されました。体内の90%を占めるⅠ型からⅤ型のコラーゲンは、まとめてメジャーコラーゲンと呼ばれています。[4]
また、コラーゲンは3本のらせん構造をしており、それが1本にほぐされた状態を「ゼラチン」、さらにその1本が短く分けられると「コラーゲンペプチド」と呼び方が変わります。
ばばともかさん
ゼラチンは、スープやゼリーなどの食品として馴染みがありますよね。
そして一般に、コラーゲンサプリメントには、コラーゲンペプチドが利用されています。
「コラーゲンは摂っても意味がない」のウソ・ホント
ばばともかさん
意味がないと考えられたコラーゲンの摂取ですが、注目の研究結果が報告されるようになりました。
コラーゲンサプリは意味がないと言われていた理由
人はコラーゲンをそのままからだに取り込むことはできません。[5]
これが、「コラーゲンサプリを飲んでも意味がない」と考えられた理由です。
詳しく説明すると、タンパク質を摂取すると体内でアミノ酸に分解されます。アミノ酸の形で小腸から吸収され、血液に乗って全身すみずみへ送られます。タンパク質として働くためには、体内でアミノ酸からタンパク質へ再び組み立てられることが必要です。
タンパク質の一種であるコラーゲンも同様で、体内に入るとアミノ酸に分解され、吸収されたアミノ酸から再び組み立てられるタンパク質はコラーゲンだけではありません。
ばばともかさん
このことから、コラーゲンを摂取しても全てがコラーゲンとして体内で作用するとは期待できないと考えられました。
コラーゲンペプチドとしても吸収されることが判明
コラーゲンは摂取してもアミノ酸に分解されるという認識の中、一部はコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)の状態で吸収されることが研究により報告されるようになりました。[6]
吸収されたコラーゲンペプチドが血流に乗り皮膚に到達すると、皮膚のコラーゲンを作り出すのを助けることがわかりました。[2]
ばばともかさん
実際に、皮膚のコラーゲン量が増えたという結果から、コラーゲンペプチドに関心が集まっています。
美容にコラーゲンサプリを選ぶポイント4選
肌への効果を最大限期待するための、コラーゲンサプリの選び方について解説します。摂取する目的や原料の違い、サプリの形など詳しく解説しているので、選ぶ際の参考にしてみてください。
美容か健康か?摂取目的でコラーゲンの種類を決めよう
コラーゲンは、肌だけではなく骨や腱などでも重要な役割があります。組織によって存在するコラーゲンの種類に違いがあるため、目的に合わせて適切な種類を選びましょう。
Ⅰ〜Ⅲ型メジャーコラーゲンの主な存在部位を表にしました。[7]
Ⅰ型コラーゲン | 硝子軟骨を除くほとんど全ての結合組織に存在 真皮や骨、腱などに多い |
Ⅱ型コラーゲン | 軟骨、椎間円板線維輪、目の硝子体 |
Ⅲ型コラーゲン | I 型と共存して真皮や動脈壁に多い |
ばばともかさん
上記の表から、肌美容のために摂取する時には、真皮に存在するⅠ型やⅢ型コラーゲンが良さそうです。
コラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)を選ぼう
コラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素で分解し小さな分子に切り分けたものです。コラーゲンは分子の大きさで吸収率が全く異なり、コラーゲンペプチドのように低分子の方がからだに取り込みやすくなります。
からだに取り込む大きさには限界があり、大きな分子は吸収されるために分解される必要があります。分解する働きが弱ければ大きな分子のまま、からだから排出されてしまうこともあり得るでしょう。大きな分子は、小さな分子よりもからだへ取り込みにくくなるわけです。
ばばともかさん
飲むことで皮膚のコラーゲン量に影響があると注目されている、コラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)を積極的に摂取できると良いでしょう!
原材料で選ぼう
コラーゲンサプリで使用される原材料には、大きく分けて「魚由来」と「動物由来」があります。
それぞれの特徴をみてみましょう。
魚由来コラーゲン | ・分解能、吸収能が動物由来コラーゲンより高い ・主なコラーゲンはⅠ型コラーゲン ・添加物が入っていることが多い ・抽出時の鮮度や脂肪の残存率が、においの原因となる |
動物由来コラーゲン | ・人のコラーゲンと性質が似ている ・吸収率は魚由来コラーゲンに劣る ・除去仕切れない脂肪がにおいの原因となる |
前提として、吸収されなければコラーゲンサプリとして意味がありません。魚由来コラーゲンの方が分解能が高い=吸収能が高いと言えます。
ばばともかさん
実際に魚鱗由来のコラーゲンペプチドにおいて、動物由来と比較し肌角質水分量が増加したという研究結果があります。[8]
吸収率の良い、魚由来のコラーゲンサプリがおすすめですね。
魚由来・動物由来どちらのコラーゲンには、においや味、保存性を考慮して添加物が含まれる場合があるようです。添加物に対して安全性や使用量などが気になる方は、「無添加」である商品を探すこともポイントとして見てみましょう。
ライフスタイルにあった、続けやすい剤形を見つけよう
加齢に反して美容の維持や改善を期待するためには、コラーゲンサプリの摂取を続けることが一番重要です。
コラーゲンサプリの3つの剤形について、特徴をみてみましょう。
錠剤 | 外出先でも忘れず摂取するために、携帯しやすい |
粉末 | サプリの味に抵抗がある場合、味噌汁やコーヒーなどに混ぜやすい |
ドリンク | 人工甘味料の味の好みに個人差があるが、液体で手軽に飲みやすい |
ばばともかさん
継続しやすく自分に合う剤形で、ライフスタイルに違和感なく取り入れられると良いでしょう。
コラーゲンサプリをムダにしないための2つの栄養素
加齢によるコラーゲンの劣化には「酸化*」と「糖化**」が関連していると言われています。[9]ここでは酸化や糖化を防ぐ働きのある、2つの栄養素を紹介します。
ビタミンC
ビタミンCは、安定した構造のコラーゲンを作り出すために必要不可欠です。
せっかく、摂取したコラーゲンペプチドからコラーゲンを作り出す司令が出ても、ビタミンCが不足していては作り出すことが出来ません。また、コラーゲンの劣化に関わる「酸化*」の原因である活性酸素***を取り除く働きもあります。[9]
ばばともかさん
ビタミンCを多く含む食物としては、パプリカやブロッコリーなどが有名ですね。
ビタミンCは、歪みない骨組みのコラーゲン作りを助け、骨組みが古びないようにサポートもするという一石二鳥の働きをしてくれます。健やかなコラーゲンを導くため、意識して一緒に摂りたい栄養素ではないでしょうか。
鉄分
鉄分は、コラーゲンの劣化の原因である「糖化**」を抑制すると言われています。[10]
ばばともかさん
鉄分と言えば、レバーを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。他にもアサリやしじみ、小松菜やほうれん草なども鉄分を多く含んでいます。
鉄分は、われわれ現代人、特に女性においては不足しがちです。古びたコラーゲンが増えるのを抑えるためにも、ビタミンCと合わせて一緒に摂取したい成分ですね。
コラーゲンサプリ摂取を通して、食生活も見直そう
効率的にコラーゲンペプチドを摂取できるサプリメントは、手軽で継続しやすい手段です。
豚足や手羽先などコラーゲンを豊富に含む食物は、脂質も多く高カロリーですよね。一度に必要量を摂ろうと思うと、摂取カロリーが過剰になってしまいます。食事だけで必要十分なコラーゲンを摂ることはなかなか難しいでしょう。
規則正しい食事は、ビタミンCや不足しがちな鉄分といった栄養素を補給でき、コラーゲンペプチドとの相乗効果を期待できます。
コラーゲンサプリと健やかな食生活で、いつまでも美しく過ごしていきましょう!
[1]Younger facial looks are associate with a lower likelihood of several age-related morbidities in the middle-aged to elderly,British Journal of Dermatology,10 January 2023,PDFページP4
[2]Oral Ingestion of Collagen Hydrolysate Leads to the Transportation of Highly Concentrated Gly-Pro-Hyp and Its Hydrolyzed Form of Pro-Hyp into the Bloodstream and Skin,Journal of Agricultural and Food Chemistory. 2017, 65, 11, PDFページP2315,P2317
[3]籏持淳,加齢に伴う皮膚の変化 ─細胞外マトリックスの変化を中心に─,獨協医学会,獨協医学会雑誌,2008,Vol.35,No.3,PDFページP233,図17加齢に伴う真皮コラーゲン量の変化
[4]服部俊治,動物由来線維分子コラーゲンの性質と応用,繊維学会,繊維学会誌, 2009年,65巻,12 号,PDFページP15
[5]石川幹人,情報に踊らされないための化学リテラシー ―サプリメント広告を例にして―,公益社団法人日本化学会,化学と教育,2016年,64巻,9号,PDFページP435
[6]重村泰毅,清水彩加,岩崎優,コラーゲンペプチド摂取による効果と効果的な摂取方法について,日本調理科学会,日本調理科学会誌,2021年,54巻,3号,PDFページP42-43
[7]服部俊治,動物由来線維分子コラーゲンの性質と応用,繊維学会,繊維学会誌, 2009年,65巻,12 号,PDFページP16,表2現在知られている型別コラーゲン一覧
[8]大原浩樹,伊藤恭子,飯田博之,松本均,コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果,日本食品科学工学会,日本食品科学工学会誌,2009年,56巻,3号,PDFページP144
[9]斎藤 充,コホート研究およびヒト組織分析をもとにした 骨脆弱化モデルの確立とそのピットフォール,日本老年医学会,日本老年医学会雑誌,2013年,50巻,2号,PDFページP213
[10]中村成夫,活性酸素と抗酸化物質の化学,日本医科大学医会,日本医科大学医会雑誌,2013年,9巻,3号,PDFページP166
[11]大正製薬>ニュースリリース>研究開発>鉄分がコラーゲンと肌細胞の糖化を抑制することを発見
薬剤師ライター:ばばともかさん
薬剤師。大学を卒業して医科大学病院に8年勤務後、3年間にわたり海外4カ国で生活。現在は出産を経て、在宅でも薬剤師資格を活かして活動しています。学会発表や論文執筆などの経験を活かし、「正しい情報をわかりやすく、読者の思いに寄り添う」を心に掲げ、医療関連記事の他、noteで執筆活動をしています。好きなものは、旅とコーヒーとクラフトビール。
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