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50代からはじめる認知症予防!食事・運動プラス3つの新対策

50代をすぎると「最近、忘れっぽくなってきたな……」「何をしにきたか思い出せないことが増えたな……」と悩む方がいらっしゃるかもしれません。

認知症は高齢者だけでなく、中高年でも起こり得ます。一度認知症になると、今のところ根本的に治す方法は見つかっていません

しかし、早期から認知症予防に取り組むと、認知症の発症や進行を遅らせる可能性があります[1]

認知機能は40代後半から少しずつ低下するといわれており、40代、50代からはじめる認知症予防が重要です。[2]

作業療法士ライター

椎野みいのさん

この記事では、作業療法士として長年認知症のリハビリに関わってきた筆者が、50代から取り組める認知症の予防法について詳しく解説します。

目次

50代で認知症?中高年もリスクあり

認知症は高齢者の病気と思われがちですが、実は50代でもなる可能性があり、だれもがなり得る病気です。どのような病気かを知れば、適切な予防対策につなげやすくなります。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

そもそも認知症になるとどうなるのか、そして50代でもみられる「若年性認知症*」について、詳しくみていきましょう。

若年性認知症:65歳未満で認知症になること

そもそも認知症とは

認知症は、脳の細胞が障害されて記憶力や判断力などの認知機能が低下し、生活に支障が出てくる状態です。

たとえば、「昨日の夕食メニューが思い出せない」というのは加齢に伴う物忘れです。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

一方で、認知症は「食べたこと自体が思い出せない」と、体験そのものを忘れてしまいます

50代でも認知症に

高齢者に多い認知症ですが、若年性認知症の患者数は、約3.78万人と推計されており、決して少なくはない数です。(2009年時点)推定発症年齢の平均は51.3歳で50代でも認知症になるリスクは十分にあります[3]

50代で認知症になり、働き盛りで休職や退職を余儀なくされると、家計に影響がおよび、介護者家族にも重い負担がかかるでしょう。さらに、50代の労働力喪失は社会的にも大きな課題となっています。

早期予防で認知症の発症を緩やかに

日本だけでなく、世界的な課題として取り上げられている認知症。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

一度発症すると完全に治すのは難しいとされていますが、早期からの予防で、認知症の発症を遅らせる可能性があります[1]

認知症予防が重要な理由について、みていきましょう。

認知症予防の重要性

「記憶力などの低下はあっても生活で困るほどではない」「正常とも認知症ともいえない状態」を「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」(以下、MCI)といいます。

MCIは認知症の予備群で、MCIの約半数は5年以内に認知症に移行するといわれています。ただし、MCIの段階から運動などの予防をはじめれば、健康な状態に戻る可能性や認知症の発症が緩やかになるとわかってきました。[4]

また、認知症の中で最も多いアルツハイマー病は、症状が出る約20年前から体内に原因物質が蓄積しはじめるといわれています。[5]

作業療法士ライター

椎野みいのさん

認知症の症状が現れる遥か前から病気は進行し続けているので、症状が出る前からの予防対策が大切です。

認知症の一次予防、二次予防、三次予防

認知症の予防は、段階によって一次予防、二次予防、三次予防にわけられます。[6]

  • 一次予防:発症していない病気の予防
  • 二次予防:発症した病気の進行を予防
  • 三次予防:すでに発症した病気の重症化予防と社会復帰

現時点では、認知症になってからでは治せないため、病気になる前の「一次予防」が重要です。一次予防は、食事や運動などの生活習慣の見直し社会活動への参加などが当てはまります。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

40代、50代の元気な状態から一次予防に取り組み、MCIを予防して、将来認知症になるリスクを減らしましょう。

50代からはじめる3つの認知症予防

認知症の予防には食事のコントロール有酸素運動が知られています。今回は、筆者が作業療法士としてアドバイスしてきた、食事や運動と合わせておこなって欲しい認知症予防法をご紹介します。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

40代、50代のうちから気軽に取り組める内容ですので、普段の生活に取り入れてみませんか。

人とのコミュニケーション

「人と関わる機会が少ない」「外出をあまりしない」生活が続くと、認知機能の低下は進みます

人とのコミュニケーションは、記憶注意力など、さまざまな脳の機能を使います。また、親しい人と楽しい時間を共有するとストレスの軽減にもつながるでしょう

高齢になると、新しい環境に出向くことや人との交流が以前より難しくなってきます。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

健康で若い時から積極的に人と関わり社会とのつながりを作っておけば、高齢になっても活動的で充実した生活を送れるのではないでしょうか。

40代、50代は家事や子育て、仕事や趣味など多様な経験を持つ世代です。作業療法士の筆者がおすすめする交流の機会づくりを以下にご紹介しますので、できそうなものから取り組んでみましょう。

  • スーパーの店員さんと挨拶や世間話をすみる
  • 仕事仲間と飲みに行く
  • こどもや孫の部活や習い事を見に行く
  • 趣味の社会人サークルに入る
  • 推し活の仲間と交流する
  • 行きつけのお店を見つけ、常連になる

デュアルタスク

2つのことを同時に実行するのが「デュアルタスク」です。テレビを見ながら料理する、運転をしながら話をするなど、日々の生活の中で自然におこなっている「ながら運動」を指します。

デュアルタスクは高齢者のリハビリでもよく使われる認知症予防の一つです。とくに運動と認知課題の同時進行が有効とされています。[7]

頭と体を併せて使い、脳の広い範囲を活性化させましょう。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

はじめは簡単な課題から取り組み、徐々に難易度を上げていくのがおすすめですよ。

運動時は熱中症や脱水にならないようこまめに水分を補給し、無理のない範囲で進めましょう。

作業療法士の筆者がおすすめする活動は以下となります。

  • ウォーキングをしながら計算する
    一桁の足し算からはじめ、徐々に二桁、三桁と難しくしていく。慣れたら掛け算にも挑戦する。
  • 踏み台昇降をしながらしりとりをする
    普通のしりとりからはじめ、慣れたら3文字のしりとり、国名のしりとりなどルールを追加する。
  • ラジオ体操をしながら、前日の食事内容を思い出す
    前日の夕食→昼食→朝食→前々日の夕食→昼食……と、過去にさかのぼって思い出す。

歯の健康維持

アルツハイマー病の発症に歯周病が関連しているといわれています。また、歯周病は認知症のリスクとなる糖尿病などの生活習慣病との関係も最近の研究でわかってきています[8]

歯周病におすすめの予防法をまとめましたので、できることからはじめてみましょう。

  • 歯磨きの後にデンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間の汚れを取る
  • タバコをやめる
  • 歯医者さんで定期的に歯のクリーニングを受ける
  • 週1回以上、鏡で歯ぐきに腫れがないかチェックする習慣をつける 

[8][9]

40代、50代から認知症予防を

認知症の予防は病気になる前の「一次予防」が重要です。認知機能は40代から衰えていき、認知症の原因となる物質は40代、50代から脳に蓄積しはじめます。

認知症予防は一つの予防法にとらわれず、複数のアプローチの組み合わせが大切になります。

作業療法士ライター

椎野みいのさん

健康的な食事や適度な運動に加え、「コミュニケーション」「デュアルタスク」「歯の健康維持」にも取り組みましょう。

この記事の執筆者

作業療法士ライター:椎野 みいのさん

作業療法士としてリハビリ病院、介護老人保健施設、リハビリの学校で勤務。現在は特別養護老人ホームで働きながら、医療ライターとして活動中。高齢者に関する病気や健康、リハビリ等の記事が得意。「自分が得た知識や経験は、いつかだれかの役にたつ」をモットーに、読み手が行動を起こしたくなる執筆を心がけています。

X:https://twitter.com/lYqDfkmz1ld98OT

ブログ:https://kimamani-jibunrashiku.com/

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