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【ひとりで悩まないで】40代に多い「尿もれ」原因と対策を薬剤師が解説

尿もれの悩みを話すことは恥ずかしいと感じる方が多いのではないでしょうか。しかし、決してあなただけの悩みではありません。

40代以上で尿もれを経験している方はたくさんいます。尿もれには必ず原因があるため、原因をしっかり理解して対策しましょう。

尿もれは自宅でできるトレーニングの実践や、生活習慣の見直しで改善する可能性があります。場合によっては病院に受診し、薬による治療が必要なケースもあるため注意が必要です。

今回の記事では、薬剤師資格を持つ筆者が尿もれの原因と対策について解説します。

薬剤師Webライター

滝 カナさん

一緒に尿もれに悩まない生活を目指しましょう。

目次

尿もれに悩んでいる人はどのくらい?

尿もれとは、排尿したくないのに自分の意思とは関係なく尿がもれてしまうことです。
成人女性では4人に1人、高齢者女性では3人に1人が尿もれを経験しています

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滝 カナさん

日常生活に支障をきたしているのにもかかわらず対策していない方はたくさんいます。

尿もれは恥ずかしいと思って人に相談できない、または治らないと思ってあきらめてしまう人が多いのです。しかし、約80%の人は尿もれをコントロールできるといわれています[1]

尿もれの原因とは?

尿もれの原因は人それぞれなので、人によっては原因が1つに限らず複合して尿もれになる場合もあります[2]尿もれが原因で、やりたいことができなくなったり、生活に支障が出たりする場合は、これを機に病院に受診してみるのもいいでしょう。

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滝 カナさん

ここからは、尿もれのよくある原因を3つ解説します。

尿もれの原因①病気によるもの

さまざまな疾患が要因となり尿もれにつながる可能性があります。おもな症状や原因を以下に挙げます。

  • 腹圧性尿失禁
    咳やくしゃみ、笑ったときや、重いものを持ち上げたときなどお腹に力がはいった際におこる尿もれ[3]
  • 切迫性尿失禁
    突然強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずもらしてしまう尿もれ[3]
  • 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
    膀胱に尿がたまり、あふれ出てきてしまう尿もれ[1][4]
  • 機能性尿失禁
    膀胱の機能には問題ないが、手足が不自由で衣服をうまく脱げない、トイレまで行くのに時間がかかる、認知症によりトイレが認識できないために起こる尿もれ[4]

尿もれの原因②妊娠・出産によるもの

子宮や膀胱を支える骨盤底筋という筋肉のゆるみによりおこる尿もれです

笑ったり重いものを持ったりすると無意識にお腹に力が入りますよね。

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また突然強い尿意を感じて尿もれを起こすことがあります。このような尿もれは妊娠中や出産後によくある症状です。[5]

尿もれの原因③精神的な気持ちによるもの

疾患や異常がないにもかかわらず精神的、心理的なストレスが原因で尿もれをおこすこともあります

たとえば「緊張するとトイレが近くなる」や普段出かける前、尿意を感じてないにもかかわらず「心配で、トイレに行く」という行動を経験したことはありませんか。これは精神的なストレスからくるものと考えられます。[6]

膀胱に十分な尿が溜まらないまま脳に指令がいき排尿する状態です。

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上記の行動を普段からずっと続けると脳が少量の尿で排尿してもいいと勘違いし、トイレに行く回数がしだいに増えていきます

また、膀胱が過剰に働いてしまい、膀胱内に尿がそれほどたまっていないのにもかかわらず尿意を感じてしまう状態(膀胱容量の低下)がおこり、尿もれを引き起こす可能性があります。[7]

自宅でできる尿もれの対策

尿もれに悩んでる方におすすめなのが、骨盤底筋を鍛えるトレーニングや膀胱を鍛える膀胱訓練などです。骨盤底筋トレーニングは、腹圧性尿失禁や機能性尿失禁の方に効果がでやすいといわれてます。また産後の尿もれに悩んでる方にもおすすめです。そして、生活習慣を見直すことで尿もれが改善する場合があります。

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滝 カナさん

これから1つずつ解説していきます。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋とは、膀胱や子宮を支えている筋肉です。骨盤底筋を鍛えると尿もれを予防できると考えられ、腹圧性尿失禁や妊娠・出産による尿もれに効果があると期待されています[8]

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滝 カナさん

以下、骨盤底筋トレーニング方法を紹介します。

①仰向けに寝て足を少し開き膝を立て、ゆっくり深呼吸して体の力を抜きます。

②息を吐きながら、肛門を締めていきます。そして、膣と尿道も胃の方向に引き上げるように締めていきます。(10秒くらいが目安)

注意点として、ここでお腹や腰に力が入らないことです。他の部位に力が入ると逆効果になります。慣れるまではお腹や腰に手を当てて力が入っていないか確かめましょう。

③力を抜いて少し休みます。(30秒くらいが目安)

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滝 カナさん

①〜③を1日10回を目安に行いましょう。
慣れるまでは時間がかかるので自分のペースで行うのが望ましいとされています

慣れてきたら、日常生活の中で取り入れましょう。[1][8][9]

膀胱訓練

膀胱訓練とは、排尿の間隔を少しずつ延ばして、膀胱にためる尿を少しずつ増やすトレーニングの1つです。

排尿のコントロールを向上させ、急な尿意による失禁を防ぐ効果があります。また頻繁にトイレに行く習慣を減らして、膀胱に尿をためる力を鍛える効果もあります。尿もれに悩む方は試してみてください。

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滝 カナさん

以下、膀胱訓練トレーニング方法を紹介します。

①尿意を感じたらトイレに行くのを1回だけ我慢してみましょう。

②初めのうちは5分トイレを我慢し、1週間続けます。尿意を感じるたびではなく、1日の中で時間や回数を決めて、自分のペースで無理せず行いましょう。

③慣れてきたら10分、15分とトイレを我慢する時間を少しずつ延ばしていきます。

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滝 カナさん

最終的にはトイレを2~3時間我慢できるようになれるといいでしょう。[10]

生活習慣を見直す

利尿作用の多いお茶やカフェインを摂取すると、一時的に膀胱に水分が充満し尿もれをおこす場合があります。

しかし、水分を制限したとしても便秘や脱水症状を引き起こす可能性があり、尿もれが改善するわけではありません[4]

一方で水分摂取が少なすぎると膀胱にたまる尿が少なくなり、少ない量を繰り返し排尿する傾向になります。そのため、尿が濃くなり膀胱が刺激され、強く尿意を感じやすくなるといわれています。

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水分摂取が食事以外で2Lを超える場合は少し減らした方がいいかもしれません。1L程度が適量とされています[11]

大腸に便がたまっていると、膀胱の動きが不安定になり尿もれが起こりやすいため、便秘解消は尿もれ改善に有効です。便秘解消のためには適度な水分摂取や食物繊維を摂取しましょう[4][11]

尿もれパッドやシートの活用

生活習慣を変えても尿もれがなかなか改善されない場合、尿もれパッドやシートを活用してみるのはいかがでしょうか。

生理用品で代用される方も多いですが、生理用品は経血を吸収するように作られており、尿を吸収するのには不向きで、不快な臭いが発生するかもしれません

最近の尿もれパッドやシートは肌質や質感が工夫されているものが多いのです。
たとえば、肌が敏感な方にはオーガニックコットンを使用した尿もれパッドや、敏感肌向けの尿パッドがあります
また、尿もれパッドの厚みが気になる方は薄めのパッドや下着につけるシートタイプもあります。

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滝 カナさん

尿もれの量や肌質に合わせて活用すれば、尿もれの不安は軽減されるのではないでしょうか。[12]

尿もれの悩みを軽減して快適な毎日を!

尿もれの悩みはさまざまです。決して自分だけだと思わないでください。

尿もれの原因と対策についてお伝えしてきました。どれか1つでも当てはまったら参考にしてみてください。

薬剤師Webライター

滝 カナさん

また、症状について気になる方は受診を検討してもいいかもしれませんね。

参考

[1]独立行政法人国立病院機構 京都医療センター>診療科>泌尿器科>頻尿、過活動膀胱、尿失禁、骨盤臓器脱

[2]東邦大学医療センター>患者さんへ>診断・治療> 腹圧性尿失禁

[3]国立長寿医療研究センター>病院>健康長寿ナビ>尿もれの治療や対処について

[4]高齢者尿失禁ガイドラインp7.p30.p31

[5]平元奈津子.妊産婦に対するウィメンズヘルス理学療法 *.理学療法の臨床と研究 2018年.第27号.p16

[6]高知大学医学部>研究情報>シーズ集>ストレス誘発性頻尿の発症機構解明

[7]馬嶋剛.内科医が知っておくべき泌尿器科疾患(頻尿編).日本内科学会雑誌.2021年.110巻.12号.p1

[8]愛媛大学大学院医学系研究科 器官・形態領域 泌尿器科学>泌尿器の病気>尿失禁

[9]独立行政法人 労働者健康安全機構 富山ろうさい病院>富山ろうさい病院だより>骨盤底筋トレーニングとは?

[10]独立行政法人 労働者健康安全機構 富山ろうさい病院>富山ろうさい病院だより>過活動膀胱の症状を改善する膀胱訓練

[11]国立病院機構熊本医療センター>病院紹介>広報誌>くす通信第89号2007年5月 尿失禁について  排尿障害のくすり 尿失禁・・・食事の注意点

[12]国立がん研究センター中央病院>共通部門のご案内>看護部>看護の力>生活の工夫インタビュー> 知っておきたい尿もれ・便もれの基礎知識

この記事の執筆者

薬剤師Webライター:滝 カナさん

私立大学卒業後、大手調剤併設型ドラッグストアにて勤務。OTC薬を取り扱いながら医療モールや在宅医療を経験。転職を経て調剤薬局に勤務。私生活の変化にともない「自宅でもできる仕事を!」と思い2025年から薬剤師Webライターとして活動。情報があふれる時代に、「正しい情報を簡潔に分かりやすく」をモットーに日々活動しております。

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