「仕事やプライベートでイライラしてうまくいかない」「化粧のりが悪くて朝から憂鬱……」なんて経験はありませんか?
その不調は、ホルモンバランスが原因かもしれません。
とくに生理前後は女性ホルモンが乱れやすく、肌荒れやイライラなどのトラブルが起こりやすくなります。本記事では、女性特有のホルモンバランスの乱れによる、肌荒れやイライラの原因や対策をご紹介します。
岡田なつみさん
女性なのでホルモンによる不調はしょうがない……とあきらめないでください。
対処法を知り、セルフケアを取り入れて、毎日キラキラした日々を過ごせる女性を目指しましょう!
女性ホルモンとからだやこころの不調の関係性
多くの女性が、ホルモンバランスの乱れによる体調不良を感じたことがあると思います。しかし、正しい知識をお持ちの方は少ないのではないでしょうか。詳しくみていきましょう。
女性ホルモンが乱れる原因3選
ここでは女性ホルモンが乱れる主な3つの原因についてご紹介します。
- 年齢:女性ホルモンの分泌量は年齢によって変化していきます。年齢によって症状の変化を感じる方も少なくありません。様々な症状がでるのも女性ホルモンの影響です。[1]
- 病気:子宮や卵巣の病気によりホルモンバランスが崩れることも。定期的な健診を受けましょう。
- 生活習慣の乱れやストレス:女性ホルモンは脳の視床下部(ししょうかぶ)で分泌が調整されています。睡眠不足、過度な飲酒、ストレスなどの自律神経の乱れは、女性ホルモンの乱れにつながるしょう。
- 過度なダイエット:急激なダイエットによる過度な脂肪の減少は、月経不順や無月経の原因となりえます。[2]
生理前後で肌の調子が変わるのはなぜ?
女性ホルモンは「卵胞ホルモン」「黄体ホルモン」の2種類からなり、女性の体調変化に影響します。ホルモン由来の病気、精神症状、肌トラブルなど、症状は様々です。[1]
そして、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量は生理周期によって変化します。排卵後あたりから増加する黄体ホルモンの影響で、生理前は肌が脂っぽくなりニキビができやすくなります。
生理が始まると黄体ホルモンは減少しますが、角質の水分保持機能があるエストロゲンも減少していくため、肌荒れや乾燥を感じやすくなるでしょう。
そのイライラ、PMSが原因かも
PMS(月経前症候群)は生理3〜10日前くらいから始まるイライラ、落ち込み、むくみ、頭痛などの症状です。軽いものを含めて女性の4人中3人が症状を有していると言われています。[3]
月経前症候群診断基準(米国産婦人科学会)
過去3回の月経前5日間に、下記の症状のうち少なくとも1つが存在すれば月経前症候群と診断できる。これらの症状は月経開始後4日以内に症状が解消する。
情緒的症状 | 身体的症状 |
---|---|
・抑うつ ・怒りの爆発 ・易刺激性、いらだち ・不安 ・混乱 ・社会的引きこもり | ・乳房緊張感、腫脹 ・腹部膨満感 ・頭痛 ・関節痛、筋肉痛 ・体重増加 ・四肢の腫脹、浮腫 |
セルフケアで肌荒れやイライラを軽減しよう
自分のできる範囲で、肌荒れやイライラが改善したら嬉しいですよね。ここでは、日常でできる簡単なヘルスケアを紹介します。
生活習慣を見直そう
睡眠をしっかりととり、生活リズムを整えましょう。就寝直前までスマホやテレビを見ていると眠りづらくなることがあります。
排卵後から生理前のニキビができる時期は、脂っこいものを控えるようにしましょう。カフェイン、塩分、辛いもののとりすぎも注意してください。
生理のときこそ、適切なスキンケアを
生理の時は肌が敏感なので、ソフトな洗顔がおすすめです。肌荒れが気になる時期は低刺激・敏感肌用化粧水を使用するのもよいでしょう。紫外線は肌への負荷になります。日焼け止め、日傘、帽子など紫外線対策を忘れずに。
PMSの改善につながる、運動やリラックス法
PMSで体調が悪いとき、体と心が楽になるオススメの過ごし方は、以下の3つになります。
- 適度な有酸素運動(散歩、ジム、ヨガなど):ストレス発散やむくみに効果的
- 趣味や好きなことを行う:気分転換となり、気持ちが明るく前向きになる
- 湯船に浸かる:リラックス効果、血流改善を期待
薬剤師オススメ!サプリメントと市販薬
検診や受診はとても大切ですが、気軽に購入できるサプリメントや薬があったらうれしいですよね。でも、種類がありすぎてわからないという方もいるでしょう。
岡田なつみさん
ここでは、薬剤師が症状別のオススメのサプリメント、市販薬をご紹介します。
サプリメント
サプリメントを選ぶ際は、ビタミン剤がおすすめです。ビタミンB2、B6などのビタミンB群が不足すると肌の代謝が乱れ、肌荒れの原因になります。ビタミンC、Eは抗酸化作用があり、肌の老化抑制が期待できるでしょう。
総合的にビタミンが配合されたマルチビタミンのサプリメントもあるので、手軽に摂取できますよ。
漢方薬
女性向けの漢方薬は、体調に合わせて以下4種類から選んで使用し続けると良いでしょう。[5]
- 加味逍遙散:ストレスを感じる、食欲が落ちる、むくむ、体が痛いなど。なんとなく全体的にかったるくなる方にむいています。
- 抑肝散:イライラが強い方、神経が高ぶって眠れない方に。気分を落ち着かせる効果があります。
- 桂枝茯苓丸:生理前にニキビや肌荒れがきになる、生理痛、肩こり、のぼせがある方。血のめぐりをよくして症状を改善します。
- 当帰芍薬散:冷えておなかが痛くなりやすい方。むくみが気になる方に。血や水の流れをよくする、広い世代の女性におすすめの漢方薬です。
その他、市販薬
西洋ハーブのチェストベリーという成分を含むプレフェミンは、イライラ、落ち込み、胸の張り、頭痛、気分の変調への効果が期待されます。
岡田なつみさん
日本では唯一、PMSに適応のある医薬品として承認されており、ドラッグストアや薬局で購入できます。[6]
ホルモンに振り回されない、キラキラした自分でいよう
ホルモンバランスによる症状はさまざまです。イライラや肌荒れなど思い当たることがあったら、ぜひ日頃からできるセルフケアを試してみてくださいね。
岡田なつみさん
ただ、イライラや肌荒れなどの症状が強い場合は、無理せずに婦人科や皮膚科を受診しましょう。
現代女性は、一生に経験する生理の回数が増加していると言われています。人生で約450回ある生理。少しでも明るく、いつも通り過ごしていきましょう。[7]
[1]厚生労働省/働心とからだの応援サイト/女性ホルモンとライフステージ
[2]福岡秀興/女児の痩せが引き起こす将来への健康と次世代への影響/体力力学/2008/57巻1号
[3]近畿大学東洋医学研究所/東洋医学とは/月経前症候群(PMS)月経前不快気分障害(PMDD)と漢方
[4]産婦人科ガイドライン/婦人科外来編/2020/174p
[5]木下優子/月経前緊張症と月経困難症に対する漢方治療の考え方/日東医誌/2011/vol62/209p~214p
[6]岡秀樹/新薬のプロフィル・プレフェミン/ファルマシア/2015/51巻2号/154~155p
[7]厚生労働省/女性特有の健康課題に関するスクリーニング及び介入方法検証のための実証事業「月経困難症」研究班/9p
薬剤師ライター:岡田なつみさん
薬学部卒業後、病院、ドラッグストア、調剤薬局と様々な業務を経験。現在も管理薬剤師として勤務。薬学生の指導も行っている。
薬剤師に対面で相談したかのような充実した記事を執筆すべく日々活動中。趣味はネットサーフィン、旅行、ワイン。ワインは趣味が高じてワインエキスパートを昨年取得。
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岡田さんも受講した、Medi+の「医療ライターのはじめかた」講座とは?
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