6年も大学に通い、やっとの思いで手に入れた国家資格、薬剤師。
これを手にした以上、薬剤師としてキャリアを積み重ねることが、今回の人生で唯一の「正解」だと思っていました。
あれから数年が経った今、わたしは薬剤師の資格を有しながら、クリエイターとして活動しています。
イラスト入りのグッズを制作して出展したり、カメラを携え店舗やブライダル撮影に臨んだり、バス停やテレビ番組のロゴデザインをしたりと、これまで数々の物作りに携わってきました。
RKB毎日放送で土曜6:30から放送中の
— まきこ (@oekakimaco) April 17, 2020
「発掘ゼミ ‼︎」
新タイトルのロゴデザインを任せていただきました。
未来へ続く可能性を探求する学生さん、研究者さんを発掘する番組で、お勉強になるのはもちろん、出演者さんの可愛さに元気ももらえる番組です🥺♡#rkb #発掘ゼミ pic.twitter.com/obnwen8rGG
とは言え、最初からこうだったわけではありません。
卒業後すぐは、薬局の正社員として就職しました。仕事にやりがいを感じ、ちゃんと「正解」の人生を生きているつもりでした。
ですが、頭で考える「正解」が、必ずしも自分にとっても正解になるとは限らないようです。
「クリエイター」の働きかたをはじめたきっかけ
正社員の頃は自分で原因が分からなかったけれど、週の始まりが憂鬱だったり、仕事中にグルグルとめまいがしてお薬が必要になったり。家に帰ると理由もなく涙が頬をつたっていたのは、今思えば少し、頑張りすぎていたのかもしれません。
自分と同じような人の週始めを少しでも温められたらと、毎週月曜日に、わたしはSNSへイラスト投稿を始めました。
#fridayovation
— まきこ (@oekakimaco) April 10, 2020
医療・介護従事者、そして私たちの命を支えてくれる
すべての皆さんに感謝の拍手を。
最前線で、わたしたちの暮らしを、
未来を守ってくださっている皆さま
本当にありがとうございます✨ pic.twitter.com/14ais7oUBh
半年ほどそれを続けた頃から、物作りやイベントに誘われる機会が増え、少しずつ輪が広がり、いつのまにか周囲の方から呼ばれる肩書きが “クリエイター” に。
月曜日の朝も、気持ちよく目覚められるわたしに変わっていたのです。
医療者が「クリエイター」として働くメリット
一見、薬剤師とクリエイターの働き方は、180度反対側にあるように感じられます。
でも、それらは繋げることで、相互に活かすことが可能です。
作る物が絵や写真の場合、身につけた内容は、薬局でも商品のPOPやホームページ作りにそのまま活かせます。言葉だと伝え難いことでも、絵や写真の形に置き換えれば、よりイメージが伝わりやすくなりますよね。
それ以外にも、自分で作った物を自身で販売する経験は、今後の人生にも大いに役立ちます。
物を作って販売するからには、まず良いものとそうでないものを見分けられなければなりません。また、できたものをお客さんに届けるにあたって、どこでどんな言葉とともに販売するのかも、考える必要があります。
そうやって幅広い視点で物作りやお客さんと向き合っていくと、薬局での業務もより自分ごとになります。クリエイター活動を通して、職場環境を活かして身になる時間を作れるよう、考えながら取り組む力が養われるのです。
実際に「クリエイター」の働きかたをしてみて
新卒時代のわたしは、一度薬剤師になったからには、薬剤師としてスペシャリストを目指すことが、唯一の「正解」だと考えていました。
その働き方を制限してクリエイター活動を始めた当初は、正社員として働く友人たちに、引け目も感じていました。
となりの人がすごくったって
— まきこ (@oekakimaco) November 3, 2020
羨ましくなったり
落ち込むことなんてないよ。
そんなことより
こっちのお城作りを楽しもう。 pic.twitter.com/uSeTfMgWmB
でも、きっとそうではないのです。
正社員として働くことは一つの「正解」に違いないでしょう。でも、それは自分自身に無理をしてまで果たすべきものではありません。
いったん視野を広げて、自分の好きなこと、興味があることにとことん向き合った先に、自分らしい働き方の「正解」が見つかることだってあるのです。
薬局を飛び出すと、チームの中で働けることや、安定した収入を得られることなど、あらためて薬剤師の魅力も再発見できます。
そこから、あらためて薬剤師として復帰したって、遅くはないのです。
それは道草をした分、遅れてのリスタートではありません。もちろん、勉強し直すべきこともあるでしょう。だけど、外の世界で身につけてきたことも、無駄にはならず、きっとチームの中で活きる戦力になるはずです。
「クリエイター」の働きかたが、おすすめな人の特徴
クリエイターの仕事は、身近でない人にとっては、別世界に感じるかもしれません。
もちろん、誰もが名前を知る有名クリエイターに、全員がなれるわけではありません。
しかし、始めるだけなら、会社を辞めずとも今日からできます。クリエイターは、今の日常そのままに手を伸ばした先にある、とても身近な職業なのです。
「やりがいのある仕事をしているはずなのに、気持ちが晴れない」
「こなすように仕事に取り組んでしまっている」
「転職まではできないけど、現職にプラスアルファで何か始めたい」
そんな人には、うってつけだと思います。
今はSNSが身近にあるおかげで、「好き」で簡単に繋がれる時代です。
まずは、これを仕事にしようなんて考えなくてもいいから、好きなことを小さく発信してみてください。
そして「好き」が大きくなってきたら、最初は自分のために、次は家族や友人、大切な人のためにそれを作ってみる。幸せな物語の輪が拡がってきたら、今度はより多くの人を幸せにするために、クリエイターの働き方も一つの選択肢に入れてみてほしいです。
その先に、あなただけの「正解」が見つかることを願っています💫
漢方薬局薬剤師・薬膳インストラクター・イラストレーター・ライター:あさかみまきこさん
物語ある企業様、地域や個人の方の活動、またすべての方の心身の健康を応援すべく執筆活動中。文章の他、イラストや写真などの表現を通し、伝えたいメッセージをかみ砕いて要約する作業を得意とします。
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