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【体験談あり】低用量ピルの生理痛への期待できる効果を現役薬剤師が解説

「最近生理痛が重くてつらい……友人にはピルをすすめられたけど、婦人科を受診する勇気がない」

「ピルは避妊のイメージがあるから少し抵抗がある、副作用が怖い」

上記のように、悩んだ経験はありませんか?

ピルについて詳しく知らないまま、生理痛を改善するための選択肢に入れるのは不安ですよね。この記事では、生理痛に対して期待できるピルの効果について現役薬剤師である筆者が解説します。

低用量ピルにはメリットがたくさんありますが、デメリットもあります。また低用量ピル以外の生理痛の緩和方法として、鎮痛剤などを使用した対症療法*を検討するのもよいでしょう。

筆者はさまざまな種類の低用量ピルを試し、自分に合う手段で生理痛の緩和を図ってきました。記事の最後には、筆者の低用量ピルの服用経験についても記載しています。

薬剤師ライター

百瀬チコさん

ぜひこの記事を参考に、生理痛に悩む場合は医師や薬剤師へ相談したうえでピルの服用を検討してみてください。

対症療法*:病気の根本的な治療ではなく、病気から生じる症状を緩和したり取り除いたりすること

目次

低用量ピルとは?

ピルとは黄体ホルモンと卵巣ホルモンが配合された女性ホルモン配合剤と呼ばれる医薬品です。[1]一般的に「ピル」と呼ばれているものは「低用量ピル」に該当します。

そもそも低用量ピルとはどのようなものなのでしょうか?耳にしたことはあっても、実際にはよくわからないという方も多いかと思います。低用量ピルの種類や、低用量ピルの働きについて確認していきましょう。

低用量ピルの種類

低用量ピルは、次の2種類に分類されます。[2]

  • 低用量経口避妊薬(以降、低用量ピル(OC))
  • 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(以降、低用量ピル(LEP))
薬剤師ライター

百瀬チコさん

前者はおもに避妊を目的に使用されるもの、後者は月経困難症などの治療薬として保険が適応されるものです。[2]

この記事では生理痛に悩む方々を対象として、低用量ピル(LEP)を中心に詳しくお伝えしていきます。

低用量ピル(LEP)の効果

卵胞ホルモンは、子宮内膜を厚くします。対して、黄体ホルモンのおもな作用は子宮内膜を妊娠しやすい状態に整えることです。[3]

低用量ピル(LEP)に含まれる卵胞ホルモン・黄体ホルモンが同時に作用すると、子宮内膜が厚くなる働きを抑えます。[3]その結果、子宮内膜から作られる「プロスタグランジン*」の量も減り、子宮の過剰な収縮が抑えられます

薬剤師ライター

百瀬チコさん

黄体ホルモン・卵胞ホルモンが排卵を促すホルモンの働きにブレーキをかけるため、排卵が起こりづらくなるでしょう。[3]

プロスタグランジン*:発熱や痛みを引き起こしたり、子宮を収縮させたりする物質

低用量ピル(LEP)のメリット3つ

低用量ピル(LEP)を服用するメリットはいくつかあります。今回は生理痛に悩む方へ向けて下記の3点をまとめました。

  • 生理痛が緩和される
  • 出血量を減らせる
  • 不妊症のリスクを減らす可能性がある

それぞれ理由も踏まえて詳しく説明します。生理痛の改善目的で低用量ピル(LEP)の服用を前向きに検討したい方は、ぜひ参考にしてください。

生理痛が緩和される

生理痛の原因は、子宮にある筋肉の過剰な収縮であるといわれています。[3]

低用量ピル(LEP)を服薬すると子宮にある筋肉の収縮が抑えられるため、生理痛の緩和が期待できるでしょう。

出血量を減らせる

低用量ピル(LEP)は子宮内膜が厚くなる働きを抑えるため、出血が減る効果が期待できます。[3]

薬剤師ライター

百瀬チコさん

月経時の出血が多いと、貧血になる可能性も考えられます。

そのため、低用量ピル(LEP)は貧血の対策にも有用でしょう。

不妊症のリスクを減らす可能性がある

子宮内膜症による不妊症は年々増えてきています。低用量ピル(LEP)を服用して排卵を抑えることで子宮内膜症の悪化を予防し、不妊症のリスクを軽減できる可能性があります。[3]

低用量ピル(LEP)の注意点3つ

低用量ピルを服用するメリットはたくさんありますが、同時にデメリットや注意すべき点もあります。ごくまれですが低用量ピル(LEP)を服用している間に重大な副作用が起こる可能性も否定できません

「副作用って具体的にどんな症状が出るの?」

「もし副作用が起こった場合はどうしたらいいの?」

ここでは上記の疑問を解決していきます。

服薬中の妊娠のしにくさ

ピルを服用すると排卵が起こりづらくなるため、現時点で妊娠を希望している方は低用量ピル(LEP)の服用を生理痛緩和の方法として選択肢に入れづらいでしょう

また「これまでピルを飲んでいたけれど、こどもが欲しくなった」という方もいらっしゃると思います。

低用量ピル(LEP)を服用していたとしても、永久に妊娠できなくなるわけではありません。

薬剤師ライター

百瀬チコさん

服用を中止すると、妊娠準備モード(自然排卵周期)へと切り替わります。[3]

血栓症のリスク

ごくまれですが、低用量ピル(LEP)の服用で「血栓症」が起こる場合があります。血栓症は血管の中で血の塊(血栓)ができ、脳や足の血管を詰まらせる症状です。血栓が詰まった部位にもよりますが、血栓症になると次のような初期症状が現れる可能性があります。[4]

  • 激しい腹痛
  • 激しい胸痛・息苦しさ
  • 激しい頭痛
  • 目が見えにくい
  • 言葉が出にくい
  • 意識障害
  • ふくらはぎの痛み
  • 熱っぽさや皮膚の赤み

万が一低用量ピル(LEP)を服用して上記の症状が出た場合は、すぐに受診しましょう。

薬剤師ライター

百瀬チコさん

また、低用量ピル(LEP)の服用により血栓症になる頻度は服用開始後3か月以内が多いといわれています。[5]

飲みはじめはとくに注意が必要です。長い期間服用している場合も血栓症のリスクがあるため、定期的に医師の診察を受けるようにしましょう。

その他の副作用の可能性

血栓症の他には、吐き気などの副作用が起こる場合があります。[4]

服用を続けるうちに身体が慣れたり、別の低用量ピル(LEP)に変えると副作用が緩和される可能性もあるため、主治医に相談してみましょう。[4]

低用量ピル(LEP)以外の生理痛の改善法

低用量ピル(LEP)のほかに、鎮痛剤である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用も生理痛の緩和が期待できます。[4]

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用すると、プロスタグランジンの合成が抑えられます。生理痛がひどくなる前に、早めに服用するのがよいでしょう。[3]

薬剤師ライター

百瀬チコさん

また思春期の月経困難症などに伴う生理痛では、鎮痙剤(ちんけいざい)と呼ばれる筋肉の過剰な収縮を抑える薬も有効な場合があります。[4]

【体験談】筆者の服用経験について

筆者は高校生のころから生理の症状がつらかったのですが、当時低用量ピル(LEP)は服用していませんでした。家族や友人に生理について話す機会がなかったため、筆者の生理が他の女性より重いことに気づかなかったのです。

鎮痛剤を飲んでも生理痛が改善しなかったため、20代になってからはじめて低用量ピル(LEP)を服用しました。最初に飲んだ薬は吐き気がつらかったため別の薬へ変えましたが、その後は問題なく服用を続けられました。

薬剤師ライター

百瀬チコさん

痛みが和らいだのはもちろんのこと、いつもベッドを汚していた日々が嘘のように出血量が減り、とても感動したのを覚えています

生理痛を緩和して快適に過ごそう

生理痛に悩む女性が、もっと気軽に受診・相談できる世の中になることを願うばかりです。

薬剤師ライター

百瀬チコさん

もし、生理痛に苦しんでいた高校生の自分がもっと早く低用量ピルについて知っていたら、ずいぶん楽だっただろうなと思います。

この記事を参考に、ぜひ自分に合った生理痛を和らげる方法を検討してみてください。

この記事の執筆者

薬剤師ライター:百瀬 チコさん

宮城県在住。所有資格は薬剤師・心不全療養指導士。
婦人科門前薬局を経験したのち、現在は急性期病院にて循環器・心臓血管外科病棟を担当。
様々な患者へ服薬指導を行った経験と現場で得た専門知識を武器に、医療ライターとして執筆活動を開始。

X:https://twitter.com/momosechiko

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