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睡眠不足のだるさ、疲れを解決しよう!メカニズムや改善方法を紹介

夜寝たのに疲れがとれない」「スッキリ起きられなくて、仕事に集中できない
現代人の生活は、眠りをさまたげる原因でいっぱいです。

睡眠不足が続くと、疲労が蓄積して集中力が低下したり、憂うつになったり、さらには生活習慣病を引き起こしたりという原因にもつながります。

理学療法士

みさとさん

睡眠不足による影響やあなたの生活習慣を見直して、ご自身に合った改善方法を見つけましょう。

目次

3つの睡眠の役割とは

睡眠は、私たちが生きていく上で欠かせない、3つの役割があります。〔1〕〔2〕

  • 脳と身体の疲れを癒す
  • 免疫力を高め健康を保つ
  • 記憶を整理して脳に刻み込む

では、睡眠の役割について順番にみていきましょう。

①脳と身体の疲れを癒す

私たちの身体は、日中に脳の温度を高く保ち、夜間の就寝時には身体から熱を逃がし、脳の温度を冷やします。この身体機能が正常に働くことにより、眠りを誘い、脳や身体の疲れを癒します。〔1〕〔2〕

②免疫力を高め健康を保つ

睡眠は、身体の成長や病気の予防にも役立ちます。

「成長ホルモン」と呼ばれるホルモンは、眠っている間に脳から分泌されることをご存知でしょうか。成長ホルモンは身体の成長だけでなく、日々のストレスで傷ついた細胞を修復したりタンパク質を合成したりと、健康を保つことが役割です。

また、私たちの身体は、睡眠によって細菌やウイルスから守る免疫力を保っています
「ナチュラルキラー細胞」などの感染拡大を防ぐ抗体細胞は、細菌との接触が少ない睡眠時間に効率的に作られます。そのため、睡眠時間が乱れていると免疫力が低下しやすいのです。〔1〕〔2〕

③記憶を脳に刻みこむ

睡眠には、その日の出来事や学習したことを整理して、記憶として脳に刻み込む役割があります。しかし、睡眠不足になると脳の機能が正常に働かず、「仕事に集中できない」などの状態を引き起こしてしまいます。〔1〕〔2〕

睡眠のメカニズム

私たちが眠りにつく前から、体内では眠るための準備が進んでいます。健やかな睡眠をとるために、以下の3つの要素が密接に調整し合っています。

  • 自律神経
  • 睡眠ホルモン
  • 副腎皮質ホルモン

眠る1〜2時間ほど前から、自律神経の副交感神経が優位に働き、身体をリラックスさせる体制に入ります。この時、体内の熱が外に放散され脳の温度が低下します。同時に「メラトニン」という睡眠ホルモンが分泌され、眠気を誘うのです。その後、メラトニンの作用で眠りを保ち続けられます。

眠りを誘うメラトニンとは逆に、覚醒を促すのが「副腎皮質ホルモン」です。朝方になると、副腎皮質ホルモンの分泌が始まるため、脳の温度も自然に高くなって健やかに目覚められます。〔1〕〔2〕

睡眠不足による心身へのダメージ

睡眠は、心身の健康を保つ上で重要です。睡眠不足が続くと、疲労感や倦怠感、集中力の欠如などの心身ダメージが現れます

理学療法士

みさとさん

睡眠不足による心身のダメージについて、順にみていきましょう。

疲労感・倦怠感

睡眠のリズムが崩れ、睡眠ホルモンであるメラトニンが低下してしまうと、寝付きが悪くなったり、深部体温の調整が困難になったりします。

睡眠不足になると、疲労感の蓄積や日中の倦怠感につながるでしょう。〔1〕〔2〕

集中力の欠如

睡眠不足になると中枢神経機能の低下が起こり、以下の症状が原因で集中力が欠如してしまいます

  • 倦怠感
  • 眠気
  • 居眠り
  • 注意力低下
  • 遂行機能の低下
  • イライラ
  • 落ち込み
  • 焦り

睡眠不足の結果ケアレスミスが増えたり、集中力が低下して勉強や仕事にかかる時間が長くなったりと、効率が悪くなります。〔1〕〔2〕

生活習慣病やがんのリスクを高める

慢性的な睡眠不足は、体内のホルモン分泌や自律神経の機能に大きな影響をおよぼします。

例えば、食欲です。睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンの分泌が低下し、食欲を高めるホルモン分泌が上昇してしまいます。その結果、肥満の原因になることも。

また、慢性的な睡眠不足は、糖尿病や心筋梗塞、狭心症といった生活習慣病やがんのリスクを高める原因になるとされています。〔1〕〔2〕〔3

ストレス・抑うつのリスクが増大

睡眠不足だと、ストレスの増加や抑うつ状態になるリスクが高くなります

早期覚醒や、日中はボーッとしているのに夕方にかけて元気になる、というような日内変動があれば、うつ病の疑いがあります。〔1〕〔2〕〔3

理学療法士

みさとさん

一度、心療科などの専門医に受診してみてください。

睡眠習慣を見直して、睡眠不足を改善しよう

睡眠は心身に大きな影響をおよぼします。睡眠が変われば、人生が変わるといっていいほど、私たちの日々のパフォーマンスにも関わります。

睡眠習慣の実態を知り、睡眠不足を改善するにはどうすればいいか考えていきましょう。

自分の睡眠時間を見直そう

世界ランキングでみると、日本人の平均睡眠時間は韓国に次いでワースト2位です

日本人の5人に1人が不眠症といわれているほど、睡眠不足は深刻化しています。〔3
NHKによる国民生活時間調査の結果、1960年には日本人の平日における平均的な睡眠時間は8時間13分でした。その後どんどん減少し、2020年には7時間12分……。約1時間も減少しているのです。〔4

しかし、睡眠時間がとれていても、しっかり寝られていないと感じる人が多いこともわかっています。不眠症判定法のひとつに「アテネ不眠尺度」という簡易チェックがあります。〔5

理学療法士

みさとさん

自身が不眠症かどうか、またはどれくらい重症なのか、セルフチェックしてみましょう。

睡眠前のNG習慣を知ろう

知らず知らずに、睡眠の質のさまたげになるNG習慣が身についていないでしょうか。

  • 寝る直前のスマホやテレビ
  • 過度なアルコール摂取
  • 睡眠前の過激な運動
  • 睡眠前のカフェイン摂取

以上の習慣は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を低下させ、睡眠リズムを崩してしまうおそれがあります。睡眠不足を改善するには、NG習慣を避け、睡眠を計画的に整えていきましょう。〔1〕

睡眠不足を改善するための生活習慣

快適な睡眠を得るためには、毎日の生活習慣が大切です

理学療法士

みさとさん

睡眠不足を改善するために、今日からできる生活習慣を紹介します。

就寝時間・起床時間を一定にする

睡眠のリズムを整えるためには、毎日同じ時間に就寝・起床しましょう。平日の睡眠不足を休日に埋め合わせようと長時間寝すぎていると、夜になって寝付けなくなり睡眠のリズムが乱れてしまいます。

日中眠くなった時は、15分程度の昼寝が効果的といわれています。眠気を解消して、活力をもたらしてくれるでしょう。〔1〕〔2〕〔3〕〔6

睡眠を促す入浴方法

入浴は、快眠をもたらす効果があります。お湯の温度は約40度前後のぬるめに設定し、15〜30分程度つかりゆっくりと、体の芯から体温を上げることが重要です。

無理に長時間つからず、休憩や半身浴に切り替えるなどリラックスできるように入浴しましょう。入浴のタイミングは、就寝の2時間前位が最も効果的です。徐々に身体のほてりがとれていくことで、眠りが促されます。〔1〕

朝日を浴びる

朝日を浴びると、脳内の体内時計が進みます。脳内の指令により睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、覚醒ホルモンである副腎皮質ホルモンの分泌が始まります。睡眠と覚醒のスイッチが切り替わるのです。

また、朝日を浴びてしっかり覚醒することで、覚醒から14〜16時間後に再びメラトニンが分泌され、夜間の快眠へとつながります。〔1〕

朝ご飯を食べる

朝ご飯を食べることは快眠へのカギです。バランスのよい食事を摂ることで睡眠ホルモンであるメラトニンが正常に分泌され、タイミングよく眠りを誘います

朝ご飯を食べた後、14〜16時間後にメラトニンが活発に分泌され、よい睡眠リズムを作ってくれるでしょう。

理学療法士

みさとさん

メラトニンの元となるトリプトファンは大豆製品に、ビタミンB6は魚に多く含まれているので、積極的に食べることがおすすめです。〔1〕〔6

運動習慣をつける

夕方から夜にかけた寝る3時間前までの運動は、眠りにつきやすく効果的です。軽いウォーキングもしくはストレッチなどのリラックスできる運動がおすすめです。

理学療法士

みさとさん

運動して脳の温度が一時的に上がった後、下がるタイミングで睡眠が促されます。〔1〕〔6

睡眠不足の改善で健康的な毎日を!

この記事では、睡眠不足になる原因と改善方法について詳しく解説しました。
睡眠不足を改善するためには、よく眠れたという成功体験を少しずつ増やしていくことが大切です。

まずはご自身の睡眠不足の状態を正しく知り、生活習慣を見直すことから始めましょう。質のよい睡眠をとり、睡眠不足を改善し健康的な毎日をとりもどしてくださいね。

参考

【1】誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠メソッド 著書:睡眠セラピスト 松本美栄
【2】不眠の悩みは解消できる! シリーズ1〜3 著書: 国立精神・神経医療研究センター部長 三島和夫
【3】生活習慣病と睡眠障害
【4】NHK放送文化研究所 国民生活時間調査
【5】睡眠障害の診断と治療の動向に関する一考察 心理療法士が寄与する領域 松田英子 p.102 表1 アテネ不眠尺度表
【6】健康づくりのための睡眠指針

この記事の執筆者

理学療法士ライター:川村 みさとさん

四年制大学理学療法学科卒。回復期・終末期リハビリテーションを経験。現在は理学療法士として従事しながら、医療記事を主軸にライター業務を行う。
「ご自身や周りの大切な人のために医療や介護の知識を役立ててもらいたい。」個人の生きがいに寄りそうことが最大の目標。
中身はただの関西人。養分はチョコ、あんこ、コーヒー。

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