派遣薬剤師は「高時給」、「ワークライフバランスが取りやすい」といったメリットがよく紹介されています。その一方で派遣ならではの「同じ職場で長く働けない」などのデメリットも気になりますよね。
今回の記事では薬剤師歴12年、派遣薬剤師も経験している筆者が【派遣薬剤師のデメリット5選とその対策法】を紹介します。
この記事を読んで、派遣薬剤師が自分に合うかどうかのヒントにしてみてください。

かず丸さん
記事の終盤には【派遣薬剤師におすすめの働き方3選】を紹介しています。
派遣薬剤師として一歩をふみだそうとする方の参考になれば幸いです。
派遣薬剤師はどのような働き方?


派遣薬剤師とは、派遣会社を通じておもに調剤薬局に勤務する薬剤師です。勤務先とは有期契約を結び、契約更新がなければ新しい勤務先との再契約が必要になります。
福利厚生は派遣会社の基準で適用されます。年次有給休暇や育児休業など、正社員と同様に法令基準を満たしていれば取得可能です。[1]



かず丸さん
派遣薬剤師のおもなポイントとして、以下の3つを覚えておきましょう。
- 雇用主(派遣会社)と勤務先が違う
- 有期雇用
- 有給などの福利厚生は雇用主(派遣会社)の基準で適用される
派遣薬剤師のデメリット5選と対策法


「高時給」や、「残業が少ない」など魅力的な働き方の一つである派遣薬剤師。しかし、デメリットが気になりますよね。ここからは、筆者が実際に働いて感じたデメリットを5つご紹介します。



かず丸さん
単なるデメリットの説明だけではなく、その対策も記載しました。
派遣先を探す段階からできる対策もあるので参考にしてみてください。
1.同じ職場で長く働けない
労働者派遣法で、同じ職場での勤務は最長でも3年までと制限されています。[2]
また、派遣薬剤師は働く期間が契約で決まっている「有期雇用」です。



かず丸さん
いくら働きぶりがよくても派遣先の人員不足が解消されれば、派遣薬剤師の契約更新は困難になります。
勤務先がころころ変わるのが嫌な場合は、転職エージェントに「契約期間の長い案件」で探してもらいましょう。勤務先の案件には1か月更新の案件もあるので、最低でも2か月以上で希望を出すのがおすすめです。
2.仕事内容が単調で飽きやすい
派遣薬剤師の勤務先は人手不足で忙しくなりがちです。そのため、派遣薬剤師に細かく教えている時間もありません。その結果、仕事内容は「投薬のみ」「調合のみ」など単調になる傾向があります。



かず丸さん
筆者も1日中ひたすら錠剤を粉砕する職場を経験しました。
単調な仕事は変えられませんが、あらかじめどのような仕事内容かは情報収集可能です。転職エージェントに「前もって仕事内容を確認」してもらいましょう。
たとえば、「投薬は好きだけど調合は苦手」という方の場合、前もって仕事内容を教えてもらうと合わない仕事内容を避けられます。



かず丸さん
また、1日何件投薬するなどの数値目標をもって働くのもよいでしょう。
3.即戦力が求められる
前述のとおり、派遣先では基本的にゆっくり教えている時間がありません。初日からすぐ戦力になるという心構えが大切になります。
ここでの即戦力とは「難しいことをする」というより、「単純な作業をすばやくおこなう」意味合いで表記しています。どのくらいの早さが求められているのか初日に派遣先の方とすり合わせておくのがおすすめです。スピード感の目安が分かり、働きやすくなります。



かず丸さん
筆者の経験上、調合をおこなう場合もあるので粉砕や脱カプセルができると安心です。
4.風当たりが強い場合がある
派遣先の店舗によりますが、派遣社員に対して当たりが強かったり扱いが雑だったりする場合があります。
店舗の雰囲気などは転職エージェントに前もって確認するのがおすすめです。今までに派遣薬剤師を採用した薬局であれば、過去に人間関係のトラブルがなかったかを転職エージェントに教えてもらいましょう。
また、風当たりが強くなる原因の一つに、忙しくて従業員がピリピリしていることが考えられます。



かず丸さん
一人だけ動作が遅いとダラダラしている印象を与えるのでキビキビ動くように心がけましょう。
5.世間体がよくない
派遣は不安定というイメージを持たれがちです。



かず丸さん
筆者も、派遣薬剤師になったと親に伝えた際に心配されました。
派遣薬剤師として働いていることを誰かに伝える場合は「派遣」という言葉を使わないのがおすすめです。たとえば、「(派遣会社名)という会社に所属していて、人手が足りない薬局を手伝っている」と説明すれば、仕事内容も「自然に」話せて心配されにくいでしょう。
派遣薬剤師に向く人、向かない人


筆者の経験をもとに派遣薬剤師に向く人、向かない人の特徴を表にまとめました。
派遣薬剤師に向く人 | 派遣薬剤師に向かない人 |
チャレンジ意欲がある | 安定志向 |
出世に興味がない | キャリア志向 |
新しい環境にすぐなじめる | コミュニケーションが苦手 |
単調な仕事が苦にならない | 単調な仕事が苦手 |
あなたはどちらでしたか?
「向く人」に当てはまった方は、働き方を考えるタイミングで派遣薬剤師を候補に入れてもよさそうです。
「向かない人」に当てはまった方もやってみたら「意外に大丈夫だった」という場合もあります。



かず丸さん
筆者も人見知りですがなんとかなりました。
派遣薬剤師のメリットとデメリットを天秤にかけて考えていきましょう。
派遣薬剤師におすすめの働き方3選


ずっと派遣薬剤師は嫌だけど、1回はやってみたいと思う方もいると思います。派遣薬剤師の働き方はどのようなタイミングで取り入れるとよいのでしょうか。今回は「転職活動時」、「プライベート充実」、「収入アップ」の面からおすすめの働き方3選を考えました。



かず丸さん
気になる働き方があればぜひ挑戦してみてください。
1.次の正社員までのつなぎに活用
一つ目は、正社員のよい求人がみつかるまでつなぎで派遣薬剤師として働く方法です。
派遣薬剤師は基本的に残業がなく、高時給です。そのため、収入を確保しつつ、転職活動時間も作りやすいというメリットがあります。



かず丸さん
派遣先の企業が気に入ればそのまま正社員へ応募できる場合もあり、雰囲気を見てから応募したい方にぴったりです。
2.住居付き案件で旅しながら働く
二つ目は、住居付きの案件で働きつつ休日は現地を旅行する方法です。
なんといっても旅行の際のホテル代が浮く点がメリットです。
地方では人手不足のため、住居費を払ってでも派遣で来て欲しいという企業があります。



かず丸さん
住居付き案件は全体の求人に占める割合が少ないため、希望する場合は転職エージェントにあらかじめ伝えておきましょう。
3.副業もして更なる収入アップへ
三つ目は、派遣薬剤師の収入に加え、副業もして手取りアップを狙う方法です。
正社員までのつなぎに活用する時と同様、収入を確保しつつ副業のための時間を取りやすいメリットがあります。



かず丸さん
筆者も派遣薬剤師として働きながら医療ライターの勉強をスタートしました。
薬剤師以外のことにも挑戦したい方にはとてもおすすめです。
派遣薬剤師で理想の生き方をかなえよう


高時給でワークライフバランスの取りやすい反面、今回お伝えしたようなデメリットのある派遣薬剤師。あなたのイメージに変化はありましたか?
あたりまえですが、派遣薬剤師の働き方は万人向けではありません。しかし、今回お伝えしたような働き方も考えると人生の幅が広がると思います。
かなえたい夢や生き方がある場合、選択肢の一つとして派遣薬剤師も検討してみましょう。求人情報は時期によって変化するので、「時給の相場が知りたい」などの詳細は実際に転職エージェントに確認するのがおすすめです。



かず丸さん
本記事を新しい働き方を考える参考にしてくださいね。


薬剤師ライター:かず丸さん
北里大学薬学部卒。調剤併設型ドラッグストア6年、調剤薬局6年で管理薬剤師は計6年経験。「薬剤師としての知見や転職経験を、困ってる人へ届けたい」という想いでライターを始める。現在は派遣薬剤師+薬剤師ライターとして活動中。「正確で分かりやすい文書で困ってる人を救う」をモットーに、執筆活動をしています。
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