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それって「かくれ糖尿病」かも?食後血糖の重要性と対策

薬剤師ライター

ひさとさん

健康診断で血糖値が正常だったのに、喉が渇いたり、トイレが近かったり、食後の眠気や空腹を感じた経験はありますか?
とくに目立った症状もないからと、そのまま放置していませんか?

喉が渇いたり、トイレが近かったりするのは「かくれ糖尿病」のせいかもしれません。「かくれ糖尿病」は健康診断で行うような空腹時血糖は正常でも、食後血糖が高値になる糖尿病のことです。そのため、知らない間に糖尿病が進行してしまうという危険性が潜んでいます。

まず大切なのは、糖尿病についての正しい知識を身につけること。日本では、成人の6人に1人が糖尿病あるいは予備軍と言われています。

薬剤師ライター

ひさとさん

糖尿病を放置すると、神経・眼・腎臓の三大合併症のリスクがでてくるでしょう。そして心筋梗塞・脳梗塞・下肢の動脈硬化性疾患、さらには認知症や各種がん、うつ病にもなりやすいといわれています。

「かくれ糖尿病」に気づいて早期に対策ができると、健康な体づくりにつながり人生が豊かになりますよ。「かくれ糖尿病」を知って幸せな人生をつかみましょう。

目次

中高年に多い「かくれ糖尿病」とは

「かくれ糖尿病」とは、食後の血糖値が通常より高い「食後高血糖」なのに、健康診断の血液検査では糖尿病と診断されず見逃されてしまう状態をいいます

薬剤師ライター

ひさとさん

たとえば、40代男性で肥満気味、親が糖尿病という方は、「かくれ糖尿病」として病気を見逃されているかもしれません。ちなみに、特定健診では、空腹時血糖100ml/dl以上またはHbA1c 5.6%以上が高血糖の基準です。〔1
特定健診について気になる方は、以下引用部分をご覧ください。

ここではかくれ糖尿病を知る方法と、かくれ糖尿病に潜むリスクについて解説します。

「かくれ糖尿病」を知る方法は、食後血糖測定

そもそも、糖尿病の診断は、どのように判断されているのでしょうか?
まず、糖尿病の診断基準から知っていきましょう。

  • 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  • 随時血糖値(食後に測った血糖):200mg/dl以上
  • HbA1c※:6.5%以上

糖尿病は、何回かの検査を組み合わせて診断されます。上記の診断基準に当てはまる場合、糖尿病である可能性が高いと考えられます。

薬剤師ライター

ひさとさん

ちなみに、特定健診では、空腹時血糖100ml/dl以上またはHbA1c 5.6%以上が高血糖の基準です。〔1
特定健診について気になる方は、以下引用部分をご覧ください。

特定健診は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目してこれらの病気のリスクの有無を検査し、リスクがある方の生活習慣をより望ましいものに変えていくための保健指導を受けていただくことを目的とした健康診査です。

引用:全国健康保険協会/どんな健診があるの?〔2〕

上記のような健診でも見逃されやすい「かくれ糖尿病」は、どうやったら見つけられるのでしょうか?
かくれ糖尿病を見つけるためには、食後血糖の測定がポイントです。〔3

食後2時間後の血糖値診断基準
140mg/dl以上食後高血糖(かくれ糖尿病発見のポイント)
200mg/dl以上糖尿病
薬剤師ライター

ひさとさん

食後高血糖かどうかを正確に判断するためには、75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)※という検査をします。

※HbA1c:過去1~3か月の平均的血糖値を反映可能で、糖尿病の血糖コントロール状態を示す有用なデータです。〔1

※75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験):10時間以上絶食した後、空腹時に75gのブドウ糖を飲んで30分・60分・90分・120分後に採血をし、血糖値の変化を測定する検査です。〔3

「かくれ糖尿病」に潜むリスク

食後高血糖を放置していると、糖尿病になりやすいと国際糖尿病連合(IDF)がまとめた「食後高血糖の管理に関するガイドライン」に示されています。〔4

また、食後高血糖は活性酸素の発生をうながし、血管に酸化ストレスを与え、動脈硬化を促進させます。 その結果として起こるのが、次で説明する糖尿病の三大合併症や心筋梗塞、脳卒中などの病気です。

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ひさとさん

かくれ糖尿病を放置すると、健康をおびやかすさまざまな病気のリスクが高まってしまうでしょう。

糖尿病を放置してはいけない理由

糖尿病を放置してはいけない理由について、もう少し詳しく見てみましょう。

糖尿病には三大合併症がある

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糖尿病を放置すると、高血糖が続くことにより、糖尿病の三大合併症である①神経障害②網膜症③腎症がおこると言われています。

この三大合併症により、実際に起こった事例をご紹介します。

  1. 神経障害:年間約1,700人が足を切断
  2. 網膜症:年間約1,600人が失明
  3. 腎症:年間約16,000人が人工透析

重症化すると「足切断」「失明」「人工透析」という、生活が一変するようなことが起こります。それ以外にも、先ほど解説した「心筋梗塞」や「脳卒中」などを発症する可能性があるため、命の危険性すら考えなくてはいけません。また、糖尿病を放置して血糖値が高い状態にある方が、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことも知られています〔5〕。

薬剤師ライター

ひさとさん

糖尿病は放置せず、早期発見と早めの対応が必要だと分かりますね。

初期症状が目立たない

糖尿病では、血糖値がかなり高くならなければ症状が現れません。初期症状がなく、気がつかない場合が多いのが糖尿病のおそろしいところです

薬剤師ライター

ひさとさん

高血糖で起こる症状は以下のとおりです。

  • 喉が渇く、水をよく飲む
  • 尿の回数が増える
  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる

症状がまったくないまま健診などで糖尿病が見つかる場合もあれば、急に高血糖の症状が現れて糖尿病が見つかる場合もあります。また、眼や腎臓の合併症の症状が現れて、はじめて糖尿病と診断される方もいます。

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かくれ糖尿病は、とくに検診で見つかりにくい病気です。上記の中で気になる症状がある方は、早めの受診がおすすめですよ。

今からできる!2つの生活改善法

「自分はかくれ糖尿病かもしれない」と思ったあなた。今から紹介する2つの生活改善によって、体質が変わるかもしれません。その2つとは、「食事」と「運動」です。さっそく見ていきましょう。

食事療法

食事療法は、基本が大切です。難しいことは考えずに、今日できることから始めましょう!

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以下の方法は、糖尿病情報センターでも共有されている、食事療法のコツになります。

・ゆっくり、よくかんで食べる。
・朝食、昼食、夕食を規則正しく食べる。
・バランスよく食べる。
・食事は腹八分目でストップしておく。
・夜遅く、寝る前には食べない。

引用:糖尿病情報センター/「糖尿病の食事のはなし(基本編)/食事療法のコツ〔5〕
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また、糖尿病情報センターでは、以下のように栄養について記載されています。

エネルギーのもととなる三大栄養素は、炭水化物・たんぱく質・脂質です。

・炭水化物:ブドウ糖となり、私たちのからだのエネルギー源となります。
・たんぱく質:筋肉や臓器などからだを形作る重要な栄養素です。
・脂質:からだのエネルギーとなり、ホルモン、細胞などを 作る材料となります。

引用:糖尿病情報センター/「糖尿病の食事のはなし(基本編)/栄養素の配分・バランスのとれた食事〔5〕

具体的には、主食(ごはん、パン、めん類など)、良質なたんぱく質を含むおかず(魚類、大豆製品、卵、肉類など)、野菜、きのこ、こんにゃく、海藻、乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)、果物など1日の中でいろいろな食品を組み合わせて摂取することで、バランスのよい食事に近づきます。

引用:糖尿病情報センター/「糖尿病の食事のはなし(基本編)/栄養素の配分・バランスのとれた食事〔5〕

炭水化物、たんぱく質、脂質の配分例

・炭水化物:摂取エネルギーの40~60%
・たんぱく質:摂取エネルギーの20%まで
・脂質:摂取エネルギーの20~30%

引用:糖尿病情報センター/「糖尿病の食事のはなし(基本編)/栄養素の配分・バランスのとれた食事〔5〕
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糖尿病だからといって食べてはいけないものはありません。ただし、量が制限されることだけは覚悟しましょう。美味しいものを少量、ゆっくりと味わって食べるのがベストです

運動療法

適度な運動は、血糖値を下げることに有効です。運動には血中のブドウ糖を消費し、血糖値の上昇を抑える効果がありますよ。

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ひさとさん

ここでは、運動療法のポイントについてお伝えしていきます。

  • 血糖値が上がりやすいのは食後30分〜1時間くらいなので、そのタイミングで運動をはじめるのが効果的
  • 歩く程度の運動を、1回20〜60分程度、週3回以上、できれば毎日の実施が推奨されている

食後高血糖の予防では、運動をするタイミングも大切です。休憩のあと、軽い運動からしてみましょう!〔7

生活習慣の見直しと、早期発見を忘れずに

中高年に多いかくれ糖尿病について、検査方法や注意すべき点、そして対策法を解説しました。

薬剤師ライター

ひさとさん

まず覚えておいてほしいことは、喉が渇いたり、尿の回数が増えてきたりと変化を感じたら、病院に行って食後血糖を測ってもらうことです

糖尿病の早期発見は、合併症をはじめとする病気の予防につながります。

かくれ糖尿病が心配な方は、食事や運動など生活習慣の見直しからはじめてみませんか?
食事や運動を改善して、健康な体づくりをめざしましょう。

この記事の執筆者

薬剤師ライター:ひさとさん

名城大学薬学部卒。製薬会社にてMRを経験したのち、病院薬剤師へ転職。現在は病院薬剤師として働きつつ、医療ライターとして医療・薬に関わる記事の執筆に取り組んでいます。
自身の経験を生かした幅広い視野で、医療の現場を伝えていくことをモットーにしています。

X(Twitter):https://twitter.com/w_hisato
note:https://note.com/mystery_pharm

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