何もしなくてもぷるぷるのスベスベだと思われがちな赤ちゃんの肌。
でも、実際は乾燥しがちでトラブルもたくさんありますよね。
何とかしてあげたいけれど、「赤ちゃんのまっさらな肌に保湿剤を塗って良いのかな?」と悩むママも多いのではないでしょうか。
桜井さん
皮膚科経験のあるママ薬剤師が、赤ちゃんに保湿が必要な理由と正しい保湿方法を紹介します。
赤ちゃんの肌はとてもデリケート!保湿が肌を強くする
赤ちゃんと大人の肌はどう違うのでしょうか。赤ちゃんの肌だからこそ保湿が必要である理由を説明します。
赤ちゃんの肌の特徴
ふっくらと見える赤ちゃんの肌は、実はとても薄くて弱いことをご存知でしょうか。
大人と比べて未熟な赤ちゃんの肌は、皮脂や水分量が少ない乾燥肌。
外部の刺激から肌を守ったり、肌の内側から水分が失われるのを防いだりする「バリア機能」が弱くなっています。よだれや汗、布団との摩擦なども刺激となり、肌荒れしやすいですよね。
桜井さん
健やかな肌を保つためには、保湿によって水分と油分を補いバリア機能を正常にすることが大切です。(1-p4)
赤ちゃんの保湿はいつから始めるべきか
生まれたばかりの赤ちゃんは、全身が胎脂(たいし)というクリーム状のものに覆われ、肌が守られています。産後24時間以内に胎脂が消えると、赤ちゃんの肌の乾燥が始まります。(2)
「保湿すると、肌が自ら潤う力が育たないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、乾燥したまま放置して肌が強くなるというデータはどこにもありませんよね。
むしろ、早い時期からの保湿でバリア機能をしっかりキープすることが、強い肌を育てることにつながります。
桜井さん
新生児期(生後0日〜28日)からの保湿で、将来の肌トラブルを防ぎましょう!
正しい保湿でアレルギーを防ぐ
保湿の効果は見た目の肌荒れを治すだけではありません。
アレルギーの予防につながる可能性があります。
保湿がアトピー性皮膚炎を防ぐ
アトピー性皮膚炎の原因はさまざまですが、バリア機能の低下もそのひとつだと言われています。バリア機能が弱いと、ダニやカビなどのアレルギーの原因となる物質が皮膚から入り込みやすくなりますよね。
最近の研究では、新生児期からの保湿でアトピー性皮膚炎の発症を3割以上減らせることがわかっています。(3)
アトピー性皮膚炎の治療ではもちろん保湿が必要ですが、健康な肌でも保湿によって発症を抑えられる可能性があるのです。
肌荒れと食物アレルギーの関係
保湿の効果といえば、皮膚に関するものだけだと思われるかもしれません。実は、一見関係なさそうな食物アレルギーにも保湿は関わっています。
空気中には、掃除では取り除くことのできない食べ物の粒子がたくさん存在していますよね。
食べ物の粒子がバリア機能の弱まった皮膚から体内に入ることにより、体に異物とみなされてアレルギーを発症してしまいます。
食べ物の成分が口から体内に入ることはアレルギーの原因にはなりません。赤ちゃんが食品を初めて口にする前に、皮膚からの侵入を防ぐことが食物アレルギーのリスク低下に繋がります。(1-p4)
桜井さん
つまり、離乳食を始める前の赤ちゃんの肌をしっかり保湿することがとても大切です。
赤ちゃんの保湿方法
次に、正しい保湿方法をお伝えします。
保湿前は、肌を清潔に
保湿剤を塗る前に、まず肌を洗って清潔にする必要があります。
1日1回、入浴時は赤ちゃん用ボディソープを使うようにしましょう。乾燥している肌にボディソープを使うと乾燥を悪化させてしまうのでは?と思われるかもしれません。しかし、肌には雑菌やアレルギーのもとになる物質がたくさん付着しているので、洗い流さないままにしておくと肌荒れの原因になってしまいます。(4)
ボディソープはよく泡立て、タオルやスポンジを使わずに泡で優しく洗います。入浴時以外で汗や汚れが気になるときは、お湯で流すかよく濡らしたガーゼやタオルで拭き取ってあげましょう。摩擦が刺激にならないよう、力を入れずにふんわりと拭きます。
保湿のタイミングと保湿剤の量
保湿はお風呂上がりと朝の着替え時の他に、乾燥が気になる時に行いましょう。入浴後は肌がどんどん乾燥していくので、お風呂上がりすぐに塗るのが望ましいですが、入浴直後と入浴30分後に保湿した場合で保湿効果はさほど変わらないという報告もあります。(5)
桜井さん
ママが自分の体を拭かずに必死になって塗るほど一刻を争う必要はありませんので、「お風呂上がりは忘れずに保湿する」くらいの気持ちで毎日続けましょう!
保湿剤は少量を薄くのばすのではなく、少し多いかな?と感じる量を塗りましょう。目安は塗った部分がテカッと光る程度。ティッシュがつくくらい、たっぷり塗るのがポイントです。
桜井さん
保湿剤を浸透させたいからとすり込むように塗るのはやめましょう!かえって肌への刺激になってしまいます。(1-p14)
肌荒れがひどい場合は受診を
保湿は赤ちゃんの肌を健やかに保ってくれますが、ひどい肌荒れや湿疹には炎症を抑えるための適切な治療が必要になります。
特に、赤ちゃんがかゆがって皮膚を引っかいてしまう場合は、肌荒れが悪化するケースが多いです。
桜井さん
保湿剤だけで肌が改善しない場合は、小児科あるいは皮膚科を受診し医師の指示に従いましょう!
薬剤師ライター:桜井 朋子さん
京都薬科大学卒。総合病院での勤務を経て、調剤薬局に転職。現在は幼い娘2人の育児に奮闘中。ママ薬剤師の新しい働き方を開拓すべく、育休中より執筆活動を開始。「正しい知識で、ココロもカラダも心地よく」をモットーに、読者の悩みに寄り添った記事作成を行う。家事効率化が好き。
X(Twitter):https://twitter.com/tomos_pharma
桜井さんも受講した、Medi+の「医療ライターのはじめかた」講座とは?
コメント